Research Abstract |
従来, ゼオライト, 活性炭をはじめ様々な組成の多孔質材料が研究されている. 本研究計画では, 様々な組成の中空ナノ粒子の合成, 及びその機能化を目指す. 中空粒子は, 内部に空間を有しており, そこに様々な物質, 分子を導入することが可能であり, 環境触媒, 医療材料への展開が大いに期待できる. 両親媒性の特徴を有し, 分子量の比較的大きなブロックコポリマーを用いることで, 溶液中で安定な球状ミセルを形成させることができる. これらのミセルは, 高分子ミセルと呼び, 通常の低分子ミセルとは異なり, 超希薄溶液中であっても, ミセル形状が安定に保持できることが知られている. 平成25年度においては, このミセル表面に, 金属アルコキシドをはじめとする無機種を選択的に吸着させ, ゾルゲル反応や電気化学反応を用いて, 無機材料のコーティングを行った. その後, 焼成や溶媒抽出などにより, 鋳型となっている高分子ミセルを除去し, 中空ナノ粒子を合成した. 様々な金属アルコキシドを用いて, また, それらのアルコキシドを複合化させることで, 今までにない新しい組成の中空ナノ粒子を作成した. まず, 中空ナノ粒子を合成するにあたり, ミセル表面の電荷を制御することで, 金属アルコキシドを選択的にミセル表面に吸着させることに成功した. また, 電子顕微鏡などでサイズ・形などの分析を行い, 元素マッピングなどを利用して, 得られた材料組成の分析を行った, その結果, もともとのミセルの大きさと最終生成物の粒子の大きさはほぼ一致しており, 用いる高分子の分子量を変化させることで, 中空ナノ粒子の粒子径も制御可能であることがわかった. 更に, これらの中空内部に金属ナノ粒子を析出させ, 各種反応の触媒として機能することも示してきた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に予定していた金属ナノ粒子との複合化の課題に関して, 至急達成をしたい. 中空ナノ粒子を作成後, 金属イオン含む溶液に浸し, 金属イオンを中空内部へ導入し, 還元処理を行うことで, 金属に転換させる. 中空内部に導入させた金属ナノ粒子は, 周りの無機骨格で保護されており, 安定性の高い触媒材料として提案できると考えている.
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