2013 Fiscal Year Annual Research Report
システム生物学手法によるMA包装の物理的損傷・品質劣化軽減効果の解明
Project/Area Number |
13F03212
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
椎名 武夫 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品工学研究領域, 上席研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
THAMMAWONG M 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品工学研究領域, 外国人特別研究員
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Keywords | システム生物学 / ブロッコリー / MA包装 / 振動 / 物理的損傷 / 遺伝子発現 / 成分変化 / 品質劣化 |
Research Abstract |
本研究では、3次元振動試験等により、振動衝撃、荷重などの物理ストレス条件が、ブロッコリーの損傷発生と品質低下の程度に及ぼす影響を明らかにすることを第一の目的とする。加えて、これらの物理ストレスによる損傷発生、および品質劣化の軽減に対するMA包装の効果を、定量的に評価することを目的とする。 3次元振動試験機を用いて、JIS Z 232を参考に、ブロッコリーに5種類の包装条件を施して、掃引振動(振動加速度5.22m/s2、周波数範囲5~25Hz)を2時間処理した。振動処理直後および保存後のブロッコリーから、以下の品質評価で用いる試料をサンプリングした。次に、得られたサンプルを用いて、MA包装による、緩衝性能に基づく物理的損傷抑制効果、および、ガス組成修正に基づく品質保持効果の複合効果を評価した。評価結果より、ブロッコリーの個包装による輸送振動による損傷発生の軽減効果を確認した。さらに、MA包装を施すことにより、貯蔵中のブロッコリー花蕾の質量、クロロフィル含量、糖含量の変化が抑制されることを確認した。以上の結果から、MA包装は、輸送振動によるブロッコリーの損傷と品質変化を抑制する効果があることが実証された。さらに、凍結保存試料を用いて、定量的リアルタイムPCRにより、各種遺伝子(呼吸関連としてBoGAPDH, BoADH、エチレン生成関連としてBoERS, BoETR1, BoETR2, BoSAMS、クロロフィル分解関連としてBoCHL1, BoCHL2, BoCHL3、アスコルビン酸分解関連としてBoVTC1, BoVTC2, BoAPX2、ストレス応答関連としてBoPAL, BoCHS, BoLOX)の発現解析を実施した。加えて、主要な8サンプルについては、BrassicaオリゴDNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を実施し、データ解析を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正弦波を用いたブロッコリーの振動試験によって、個包装による振動損傷の発生軽減効果を確認した。さらに、MA包装を施すことにより, 貯蔵中のブロッコリー花蕾の質量. クロロフィル含量、糖含量の変化が抑制されることを確認した。以上の結果から、MA包装は、輸送振動によるブロッコリーの損傷と品質変化を抑制する効果があることが実証された。また、振動処理によるストレス応答関連遺伝子の発現変動解析が行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、H26年度実施予定の研究を実施する。具体的には、振動処理については、より実輸送条件に近いランダム振動を用いることで、MA包装の実用時の損傷および品質劣化軽減効果を評価する。併せて、食品品質を考慮した先進的なLCA研究を基盤として、包装とロスというトレードオフを考慮した実証データを得て、環境負荷の低減を目的とした、青果物物流の最適化条件を明らかにする。
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Research Products
(2 results)