2013 Fiscal Year Annual Research Report
カンドルのブレイドホモロジー理論と結び目理論への応用
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13F03315
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
鎌田 聖一 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEBED Victoria 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | カンドル / qualgebra / 結び目 / 空間3価グラフ |
Research Abstract |
カンドルの代数化として、qualgebraの概念を導入した。qualgebraはカンドルとしての2項演算(quandle演算)に加えて、新たな2項演算(qualgebra積)を持つ代数であり、通常の代数とカンドルの両方の概念を自然に拡張している。群における共役と積という2つの2項演算の持つ性質を抽出し、そのような性質を持つ代数として一般化・抽象化したものがqualgebraであるということもできる。カンドルは結び目の研究に有効であったが、qualgebraは結び目の一般化である有向空間3価グラフの研究に利用できる。有向空間3価グラフのダイアグラムをqualgebraによって彩色するという概念は、結び目のカンドル彩色の一般化であり、カンドルコサイクル不変量の一般化も期待される。本年度は、qualgebraの基本性質を求め、有向空間3価グラフのダイアグラムの彩色の概念の導入とイソトピー不変性の証明、群からqualgebraを得る方法、有限qualgebraの具体例の構成を行った。また、非自明なqualgebraの最小位数は4であり、位数が4のqualgebraの分類を行った。カンドルコサイクル不変量の一般化に向けた研究として、qualgebraにより彩色された有向空間3価グラフのダイアグラムの交点と頂点にウェイトを与える2種類の関数を導入し、それによって得られた状態和が有向空間3価グラフのイソトピー不変量となるための必要十分条件を求めた。これによって、qualgebraの2コサイクルの定義の候補を得ることができた。 研究分担者のV. LEBEDは、平成26年1月に米国メリーランド州バルチモアで開催されたアメリカ数学会Joint Mathematics Meetingsおよびジョージワシントン大学で開催された研究集会で研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カンドルの代数化であるqualgebraについて、2コサイクルの条件が得られ、それを用いて結び目の一般化である有向空間3価グラフの不変量が構成できることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
代数としてのブレイド化を行うために、幾何的に対応している有向空間3価グラフのブレイド理論が必要である。仮想構造を込めた(仮想)有向空間3価グラフのブレイド化について研究を進め、研究課題を遂行する。
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