2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機太陽電池への展開を目指した電子受容性分子と分子集合体の構築
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13F03334
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 栄一 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YAN Qifan 東京大学, 大学院理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | フェニレンビニレン / π電子共役 / 光物性 / 有機太陽電池 |
Research Abstract |
当研究室で開発した新規材料である炭素架橋オリゴ(P-フェニレンビニレン)(COPV)を用いて, 有機太陽電池に資する新しい有機材料の開発について検討を行った. 今年度は特に, 有機太陽電池の長寿命化を物質べ一スで解決すべく, 高い安定性を有する化合物の合成に注力した. 具体的には以下の2種類の安定化方法を検討した. まず, 共役長が長く, 熱力学的安定化効果が期待される化合物として, フェニレンビニレンユニットが6個縮環したCOPV6の合成を行った. 市販のジブロモジヨードベンゼンを出発原料として用いて, 当研究室で開発したリチウムナフタレニドを用いた還元的環化反応等を経て, 最短合成工程数12段階にて目的物を得た. この化合物が高い光安定性や電気化学的安定性を有することが明らかとなったほか, 電気化学的または化学的な酸化・還元により高い安定性をもつラジカル化学種を生成することも明らかとなっており, このような高い安定性と酸化還元特性を利用して, 有機薄膜太陽電池や, 近年変換効率の向上が著しいペロブスカイト型太陽電池への応用を次年度に検討する予定である. また, 環状の側鎖を有することでフェニレンビニレン骨格が立体的に保護されることで安定化(速度論的安定化)された化合物の合成研究についても合成検討を行うべく, コンピュータシミュレーションを用いて合成可能性を持つ構造の探索を行った. 実際の合成と光・電子物性等の基礎物性や安定性の評価ならびに太陽電池への応用については次年度に検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭素架橋オリゴ(P-フェニレンビニレン)(COPV)誘導体の合成に成功しており, 順調な進展であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
近年, ペロブスカイト型太陽電池という新しい形の太陽電池が報告され, 既に有機薄膜型を凌ぐ効率を達成している. 世界的にも研究対象が有機薄膜型や色素増感型からペロブスカイト型へとシフトしつつある. そこで, このような新型太陽電池への応用を視野に入れ, 当初計画にはなかった新しい材料の設計も併せて行うよう計画を変更する予定である.
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