2013 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトな蛍光性ポーラス結晶を用いた高選択的ガス吸着と機構解明
Project/Area Number |
13F03335
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 進 京都大学, 物質―細胞統合システム拠点, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WU Pengyan 京都大学, 物質―細胞統合システム拠点, 外国人特別研究員
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Keywords | 細孔 / 吸着 / 錯体 / 発光 / 光誘起電子移動 |
Research Abstract |
金属イオンと有機配位子によって構築される多孔性配位高分子(PCP)は結晶性材料でありながら構造柔軟性を有することから、従来の多孔性材料とは異なる特異な吸着挙動を示すPCPが次々と発見されている(Nature Chemistry 2010)。しかしながら、それらソフトな結晶が示す特異吸着の原理、機構の多くは未だ解明されていないのが実情である。本研究では、(1)ガス分離・吸蔵の中でもその開発が急務である高選択的二酸化炭素(CO2)吸着材料の開発に取り組むとともに、(2)光物性変化をリアルタイムで追跡し、その吸着過程を明らかにすることを目的とする。すなわち、ソフトなナノ空間での特異吸着機能の原理解明に寄与する発光性多孔性材料開発を目指す。初年度は、本目的を実現するための配位子およびフレームワークの設計、合成に着手した。配位子については光誘起電子移動により発光機能を可変可能なユニットを組み込んだ。具体的には、発光部位としてアントラセンを、電子供与部位としてアミノ基を組み込み、金属イオンとの配位部位としてはカルボキシレートを採用した。CO2吸着時にはアミノ基とCO2が相互作用する事で、アミノ基からアントラセン部位への電子移動が妨げられ、蛍光強度が増強するturn-on型蛍光材料が実現できると期待される。新規に合成した配位子を様々な金属イオンと組み合わせ、PCP合成に挑戦した結果、これまでに5つ以上の単結晶を得る事ができた。現在、単結晶構造解析および熱重量分析により、細孔構造と安定性を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた、配位子の設計、合成および多孔性結晶の合成が順調に進行しており、次年度移行の吸着挙動と発光強度変化の相関を明らかにする計画へとスムーズにつながっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に得られた結晶性材料の基本的な構造、安定性、吸着機能などの測定を進めるとともに、発光スペクトル測定を行う。ガス吸着下での発光スペクトル測定が必要となるため、吸着測定装置と発光スペクトル測定装置を組み合わせたその場測定システムの構築を進める。
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