2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト汗腺のテラヘルツ帯ヘリカルアンテナとしての機能に関する研究
Project/Area Number |
13F03356
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川瀬 晃道 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TRIPATHI S. R. 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | テラヘルツ波 / 汗腺 / 生体計測 / 発汗 |
Research Abstract |
2008年Physical Review Letters (PRL)誌において、ヒトの皮膚内に存在する汗腺はサブミリメートルサイズのスパイラル形状をしており、内部に導電性の汗を蓄えていることから、テラヘルツ波帯の電磁波に対してムリカル型のアンテナとして機能するという驚くべき実験結果が報告された。しかし、当該研究は、アンテナのモデルが単純かつそのパラメータ値の根拠が曖昧、かつ単一偏波のみの検出かつ狭い周波数帯での反射分光であり、これらの解明に充分な情報を提供したとは言い難い。木研究の目的は、汗腺のミリ波・テラヘルツ波帯でのアンテナとしての機能を検証することにより、生体とミリ波・テラヘルツ波との相互作用について明らかにすることである。 本研究目的を達成するため、まずはヒト汗腺の分布や密度を理解する必要がある。また、汗腺の様々なパラメータ、例えば汗腺の巻き数、長さ、直径等の男女別の違いや子供との違い等の詳細な情報が不可欠である、そのため、本年度は数人の被験者を対象に体の様々な部位の光コヒーレンストモグラフィー(OCT)を用い3D画像を測定した。得られ画像から汗腺の分布や汗腺の様々なパラメータ等を取得した。その結果、汗腺の直径は他のパラメータと異なり測定場所や男女に違いに関わらずほぼ同程度であることが分かった。また、成人の男女と比較して子供の場合、汗腺の密度が高いことが明らかになった。これらのデータの元、数値的に汗腺の共振周波数の計算を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は平成25年度9月に開始し、その研究計画のとおり数人の被験者の様々な部位から光コヒーレンストモグラフィー(OCT)による汗腺の3次元画像データを取得した。また画像解析により汗腺パラメータの統計的考察を行い、汗腺の共振周波数を求めることができた。本研究は研究実施計画通りに進行していることや上記の実績概要の理由により本年度の研究計画は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も現在の研究を引き続き推進する。平成25年度に実施した実験の結果から得られた汗腺の共振周波数の確認のためテラヘルツ時間領域分光法を用いて実験的な研究を行う予定である。また、測定だけでは検証し難いテラヘルツ波の生体への影響等を検討するため専用ソフトウエアを用いて電磁界シミュレーションの検討する。これらから得られた結果を学会や論文等で公表していく。
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Research Products
(7 results)