2013 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおけるエリシター化合物を利用した天敵誘引物質の放出制御技術の開発
Project/Area Number |
13F03379
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
GALIS Ivan 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOHAMMED I.s. 岡山大学, 資源植物科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | イネ / 揮発性成分 / 植食性昆虫 / ソルガム / エリシター / プライミング |
Research Abstract |
イネは植食性昆虫の攻撃に対して、植食性昆虫を捕食あるいは寄生する昆虫を誘引するために、何らかの揮発性成分を放出していると考えられている。本研究課題では揮発成分放出の分子機構を理解し、さらに植物ホルモンなど植物シグナル伝達に影響する物質を添加することにより揮発性成分を人為的に放出制御することを目的としている。平成25年度は、イネより放出される揮発性成分の採取法の構築として、吸着剤Porapak Qを用いた揮発性成分回収ユニットを作成した。イネ植物体に対して刺激として(1)傷害(2)植食性昆虫由来エリシター(3)植食性昆虫による食害、の3種の処理を行い、24時間揮発性成分を回収後、GC-MSを用いて解析を行った。その結果、3種のいずれの処理においても主要な揮発性物質として、モノテルペンであるリナロールが検出された。またサリチル酸メチル、安息香酸メチルや数種の緑の香り(Green leaf volatiles、C6化合物)を含む、少なくとも10種以上のテルベノイドが検出された。興味深いことに、3種の刺激により誘導された揮発性成分の組成パターンはそれぞれ異なっていた。 イネを用いた実験に加えて、ソルガム(Sorghum bicolor)が放出する揮発性成分の解析を試みた。ソルガムはバイオマス作物として利用が期待される作物であるが、揮発性成分の解析例は限られている。そこでイネ揮発性成分の解析に用いたシステムを利用し、傷害処理を行ったソルガムより揮発性成分を回収し解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において基盤となる、イネ揮発性成分の解析システムを構築したことから平成26年度以降の研究計画である、エリシター化合物処理による揮発性成分の誘導解析、放出制御実験にむけた準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に構築したPorapakを用いた揮発性成分回収システムおよびGC-MSを使用して、平成26年度はイネおよびソルガムにおいて、ジャスモン酸やBTH処理時の揮発性成分の放出量・パターンを測定する。また化合物処理を行ったイネ、ソルガムにおいて、捕食・寄生性昆虫を誘引あるいは忌避するかどうか解析することで単子葉植物における植食性昆虫対する防御の向上が可能か検討する。得られた成果をもとに国内、国際会議において研究成果の発表を行う。
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