2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規に樹立した長寿命ショウジョウバエを用いた個体老化機構の解明
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13F03382
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
相垣 敏郎 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (80150879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TRINDADE Lucas 首都大学東京, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / 寿命の進化 / 長寿命系統 / 貧栄養培地 / メタボローム / 遺伝子発現 / エピジェネティクス / 生殖力 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の進化に伴う形質の変化には方向性があるものが知られている。具体的には、寿命の延長、成熟に要する時間の増加、一定の期間に産む子の数の減少などである。酵母からほ乳類にいたる多様な生物種において、カロリー制限によって寿命の延伸が起こることが共通している。興味深いことに、進化に伴うこれらの変化は、栄養制限によって生じる特徴と一致している。しかし、世代を超えて連続的に栄養制限条件下で継代された生物にどのような変化が起こるのか,実験的に検証されていない。本研究では、ショウジョウバエを用いて、人為的に低栄養条件下で継代飼育を行うことによって得られた長寿命系統について、発生、行動、代謝などの表現型を明らかにし、寿命の進化機構における栄養条件の役割を検証することを目的とした。ショウジョウバエを貧栄養培地で継代し続け、複数の実験集団を確立した。個体数を増やして表現型を解析するために、実験集団の一部を通常培地に戻して継代飼育を行った。第二世代以降の個体について、産卵数、発生速度、羽化後の体重、成熟速度、交尾に要する時間、寿命を測定した。対照群としては、通常培地のみで継代した集団を用いた。その結果、通常培地に戻した実験集団由来の個体は、寿命が長く、卵から成虫になるまでの成熟に要する時間や、成虫になってから身体の大きさが最大値に達するまでに要する時間が増大した。産子数は減少した。通常培地に戻してから4世代以上継代した個体においても、同様な表現型を示した。また、実験集団と対照群集団の個体を交配させて得られF1個体は両者の中間の表現型を示した。これらの結果は、栄養制限によって引き起こされた表現型の変化はエピジェネティックスによって一時的に表れたものではなく、遺伝的な変化を伴っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長寿命系統のさまざまな生理学的形質の表現型について、コントロールとの違いを明らかにすることができた。 メタボローム解析も進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
複雑なメタボロームのデータを解析して、代謝的な変化について明らかにする。その基盤となっている遺伝子発現解析を進める。
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Research Products
(1 results)