2013 Fiscal Year Annual Research Report
成体神経幹細胞の静止期-増殖期-分化を制御するエピジェネティックメカニズムの解明
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13F03400
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 欽一 九州大学, 医学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SOLDATI Chiara 九州大学, 医学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 神経幹細胞 / 休止期状態 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
近年、神経幹細胞の存在が成体脳においても証明され、それを利用した損傷や精神神経疾患に対する治療法の開発が着目されています。そのため神経幹細胞の増殖・分化制御機構の解明は非常に重要だと考えられます。神経幹細胞は成体脳において、枯渇することを防ぐ、あるいは適当量の新生細胞を供給するため、多くはほとんど分裂を行わない休止状態で存在しています。そこで、神経幹細胞利用のための第一歩として、成体神経幹細胞の休止状態の維持・離脱がどのように制御されているのか、この問題を受入研究者らが長年取り組み、全ての遺伝子発現制御に関わる「エピジェネティクス」の観点から解明しようと計画しています。本課題、「成体休止期神経幹細胞のエピジェネティック制御」に関して、中島は骨形成因子(BMP)シグナルが神経幹細胞を休止状態に留めるために重要は役割を果たすこと(Cell Stem Cell 2010)、また別論文では、Soldati博士が着目してきたRESTが骨形成因子シグナルによって発現が誘導されること(J. Cell Biol 2010)などを明らかにしています。これらの過程で両者が習得した技術やアイディアを元に、実験計画をたて、本年度はまず成体マウス海馬から神経幹細胞を単離する系を各チルしました。さらに、他の論文で報告されていた、bFGF存在下にBMP2を添加することにより神経幹細胞を休止期状態に維持できることを確認しました。また、この休止期状態の神経幹細胞培養系からBMP2を除去することにより再び神経幹細胞が増殖を開始することも検証しました。以上より、本研究課題を展開するために必須の培養系を準備することができたと考えています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子メカニズムを解明するための、培養系が計画通り整ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、詳細の分子メカニズムを解析するための培養系が整備されたため、今後はこの系を利用して、休止期状態及び増殖状態にある神経幹細胞もDNAメチル化や、クロマチン修飾に付いて網羅的解析を行っていく。
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