2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13F03405
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 玟秀 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Jihye 東京大学, 医科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 病原細菌感染 / 炎症 / エフェクター |
Research Abstract |
赤痢菌を始めとする粘膜病原細菌が引き起こす下痢疾患は、開発途上国を中心に毎年多くの人命が失われている。感染を成立のために赤痢菌は、III型分泌装置と呼ばれるタンパク質分泌装置から病原因子(エフェクター)を宿主細胞へ分泌する。これらのエフェクターは宿主細胞のアクチン細胞骨格や免疫応答などを制御し、感染成立に重要な役割をしていることが明らかになった。しかし、これらのエフェクターの多くが未だに機能が不明である。従って、新たなエフェクターの機能解析は赤痢菌の感染成立メカニズム解析及び治療薬を開発するために重要である。我々は新たに同定した赤痢菌の新規エフェクターであるOspH、OspJが感染時に特に免疫系を中心として宿主側への影響とその機構の解明を目指している。 これら新規エフェクターの感染に果たす役割を調べるために、OspJ, OspHの欠損株をマウス肺に感染させ、感染応答を調べた。野生株赤痢菌感染組織に比べ、OspJ欠損株とOspH欠損株の感染肺組織では多くの免疫細胞の浸潤が認められ、炎症性サイトカインやケモカインの上昇が認められた。免疫応答に関わる制御機構を調べるために、上述の感染組織を用いて、マイクロアレイを行った。その結果、野生株に比べてOspH欠損株の感染肺組織ではCxcl3、ccl3などのケモカインとIL-1bなどの炎症性サイトカインの上昇が見られた。さらにOspH欠損株を再感染させ、免疫応答を調べた結果、CD4、IL-17などの発現の上昇が見られた。これらの結果からOspHは赤痢菌感染に対する適応免疫反応に関わると示唆される。 OspJ欠損株感染肺組織でもケモカインや炎症性サイトカインの上昇は見られたが、OspH感染組織とは異なる遺伝子の変化が見られた。これらの結果からOspHとOspJは炎症抑制に関わると考えられるがOspHとOspJは異なった経路を利用すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス肺感染モデルを用いて、新規エフェクターが感染免疫応答に関わることを明らかにし、シグナルに関わるサイトカインやケモカインを得られたので、順調に進んでいると考えられる。動物感染実験ができる施設が限られているため、再実験などに時間がかかるなどの問題点は残している。
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Strategy for Future Research Activity |
新規エフェクターによる免疫応答を解明するために、マウス肺感染実験を行い感染依存的に浸潤してくる免疫細胞をフローサイトメトリー(FACS)解析や免疫染色によって同定するターゲット細胞探しを続けて免疫細胞か非免疫細胞かを決める。。動物感染実験ができる施設が限られている問題を解決するため、同定した細胞郡の培養細胞を用いて感染実験を行う。 OspH、OspJと結合するタンパクを同定し、実際in vitro pull-down assay及び免疫沈降方法などを用いて結合を確認する。その後、ターゲット細胞に各エフェクターを過剰発現させ、マイクロアレイ、プロテオーム解析を行い各エフェクターが関わる宿主シグナル伝達経路を解明する。同定した標的宿主分子をsiRNA法によりノックダウンさせ、各エフェクターの欠損株および野生株を感染させ、確認した宿主のシグナル経路の異常を調べる。
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Research Products
(2 results)