2013 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ細胞のRNA輸送からタンパク質翻訳に至る選択的調節機構の解析
Project/Area Number |
13F03407
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
阪口 薫雄 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SINGH Shailendra Kumar 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 外国人特別研究員
|
Keywords | 翻訳 / RNA輸送 / リンパ腫 |
Research Abstract |
Eukaryotic translation initiation factor 4E (eIF4E)は、転写後の標的遺伝子産物のタンパク質発現量を制御している翻訳制御の一つである。eIF4Eは、ヒト悪性腫瘍の30%において発現増強していることが知られている。一方、GANPは哺乳類細胞においてRNA輸送に関与する分子で、eIF4Eと細胞質内で結合することを見出している。GANPもeIF4Eと同様に、臨床標本を用いた研究からホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病などさまざまな血液疾患において発現増強が認められている(Fujimura et al, Cancer Res. 2005 ; Kageshita et al, J. Dermatol. Sci, 2006)。B細胞特異的にGANPを高発現させたトランスジェニックマウスでは、ホジキン様のB-lineage悪性リンパ腫を発症した。さらに、GANP発現上昇が悪性黒色腫や胆管細胞癌と関連していることが報告されている。しかしながら、哺乳類細胞におけるGANPの機能とがん発症に関する分子機構については、まだ明らかではない。これまでの予備実験から、eIF4Eのリン酸化活性が、内在性GANPの発現抑制によって変動することを見出した。この知見は、発がん誘導と密接に関連していることを強く示唆し、本研究計画ではこの分子機構に焦点をあてて解明に取り組むことを目的とする。 本年度は、eIF4E結合の細胞性mRNAとGANPとの結合を明らかとしていく目的で、eIF4Eのクローニングを行った。HeLa細胞にFLAG-GANPとHA-eIF4Eを強制発現した系において共結合を確認することができた。さらに、この結合にはリン酸化eIF4Eが関与していることについて特異的抗体によって確認した。次に、点変異導入法によってeIF4Eの非リン酸化変異体を作製し、結合性の確認を進めている。そして、結合する細胞性mRNAの回収を行い標的RNAに対する発現変動と結合能について定量PCRによる検定を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年10月より新たに研究を開始し、データは蓄積されつつある。研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づき実験を推進し、年度内での研究成果のとりまとめ、論文投稿を目指す。
|
Research Products
(5 results)