2013 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨細胞分化の運命決定と関節防御―CCN3分子機能の新局面
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13F03412
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
滝川 正春 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JANUNE D. D. 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 軟骨形成 / CCN3 / 変形性関節症 / 誘導性発現 |
Research Abstract |
まず、当研究室において組換えCCN3タンパク質を生産が出来るシステム、並びにより安全かつ安定的にCCN3タンパク質を過剰発現させるシステムを確立した。そのため、piggyBacトランスポゾンに基づくヒトCCN3のドキシサイクリンによる誘導性発現ベクターを作製した。piggyBacトランスポゾンは二つの逆向き反復末端を有する。これらをトランスポザーゼ酵素が認識し、反復末端に挟まっているDNA断片を細胞の染色体へ組み込む結果、安定な発現を可能にする。また、この方法は非ウィルス的方法であるため、安全性も高い。こうして得られたHAタグ付きヒトCCN3 (CCN3HA)およびレポーター遺伝子であるtdT。matoを含有したpiggyBacトランスポゾンを軟骨前駆細胞株ATDC5 (ATDC5細胞)へ導入した。'対照実験としてCCN3HAを除去したpiggyBacトランスポゾンも別個のATDC5細胞へ導入した。組換えタンパク質の発現を確認するために、ウェスタンブロットとレポーター遺伝子発現実験を行ったところ、ドキシサイクリン添加への応答としてCCN3HA組換えタンパク質の発現が見られた。さらにドキシサイクリン添加の下で、安定的にヒトCCN3タンパク質(rCCN3HA)を発現するATDC5細胞を利用し、どの程度組換CCN3HAが軟骨前駆細胞に関節軟骨の形質を付与できるかを解明することを目指し、上記の外来遺伝子を持ったATDC5細胞を、11日間亜セレン酸・インスリン・トランスフェリン(ITS)及びドキシサイクリンを添加しながら高密度培養(マイクロマス培養)した。この実験の結果、CCN3HAを持ったpiggyBacトランスポゾンを持ったATDC5細胞のみで細胞の凝集がみられ、その凝集塊がアルシアンブルー染色で染まった。以上の現象はCCN3HAを発現するpiggyBacトランスポゾンを持ったATDC5細胞においては、軟骨形成が促進されうることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
rCCN3HAの生産および過剰発現用のベクター作製を完成した。piggyBacトランスポゾンに基づくベクターであるため、in vivo electroporation法にて限られた領域の組織、いわゆる膝関節腔の組織においてrCCN3HAを安定的かつ安全に発現することも可能である。従って、本研究にはとても有用なツールを完成出来た。また、予備実験のデータからCCN3タンパク質が、軟骨形成に関して肉眼でも観察出来る変化をもたらすことも判った。
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Strategy for Future Research Activity |
rCCN3HAの発現がATDC5細胞へどのような変化をもたらすかを解明するために、さらに、生化学的、分子細胞生物学的解析を進める。石灰化軟骨細胞と異なり、関節軟骨細胞はLubricinおよびTenascin-Cタンパク質を発現する。それ故にrCCN3HAの発現がATDC5細胞において、タンパク質レベルとmRNAレベルで、rCCN3HAの効果としてどの程度、こういった関節軟骨細胞特異的なタンパク質の発現を誘導するかを調べる。さらにpiggyBacトランスポゾンを利用し、膝関節腔に接する組織のみに、ドキシサイクリンによりrCCN3を発現させ、あるいはドキシサイクリンにより内因性CCN3遺伝子発現をノックダウンし、前者が変形性関節症を防ぐか、または後者が変形性関節症存就こすかを評価する。
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Research Products
(2 results)