2014 Fiscal Year Annual Research Report
合成化学医療の開発:動物内での標的細胞、および臓器上での生理活性ペプチド合成
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13F03504
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 克典 独立行政法人理化学研究所, 田中生体機能合成化学研究室, 准主任研究員 (00403098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VONG Kenward 独立行政法人理化学研究所, 田中生体機能合成化学研究室, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マウス / 生体内合成 / 糖鎖 / 遷移金属触媒 / アミド化反応 / ペプチド合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度では、生きているマウス内で特定の臓器への選択的なターゲティングを実現するために、デンドリマーや細胞、あるいはタンパク質の上に糖鎖クラスターを構築し、非侵襲的な分子イメージングによって可視化することで評価を行った。すなわち、報告者が以前開発した自己活性化型のHuisgenクリック反応やアザ電子環状反応によるアミノ基修飾法を活用して、様々な糖鎖を導入した。次いで、これらの糖鎖付加高分子に対してさらに高波長領域に吸収をもつ蛍光基を導入し、ヌードマウスに対して静脈注射を行った。その結果、これらの高分子の生体内動態や臓器選択的な集積が、付加した糖鎖に依存することを見出した。すなわち、糖鎖の構造に従って、肝臓や脾臓、あるいはリンパ節に選択的に集積する高分子を見出した。さらに、胆嚢や腎臓を経て、選択的に代謝を起こす糖鎖構造も見出すことに成功した。このように、高分子上に糖鎖を効果的にクラスター化させることにより、生体内でもその糖鎖認識タンパク質(レクチン)と選択的な相互作用を起こし、動態を操ることのできる手法を確立した。 一方、マウス内でも実施することのできる有機合成反応として、遷移金属触媒による新規なペプチドライゲーション法を検討した。種々検討した結果、ある種のアセチレンを持つエステルが、立体障害の小さい特殊な生体内アミンと無触媒、かつ選択的に反応し、アミド結合を効率的に形成できることを見出した。さらに本反応は、パラジウムやルテニウムなどの遷移金属触媒の存在下で活性され、アミノ酸の主鎖アミノ基を含む立体障害のより大きなアミンとも反応させることに成功した。本反応は水中でも容易に実施することが可能であり、当初予定していた、そして近年、細胞上での検討が盛んに行われている遷移金属触媒によるカップリング反応よりも遥かに効率的であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従って、動物内での選択的な動態や集積制御を実現し、さらに生体内で効率的、かつ選択的にアミドやペプチド形成を起こさせることのできる無触媒、あるいは遷移金属触媒反応を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では、これまでの研究実績に基づいて、細胞内に報告者のエステルを導入することにより、特定のアミン選択的に修飾反応を行い、細胞機能を制御する。また、特定の臓器を認識する糖鎖高分子をドラッグデリバリーシステムとして活用し、報告者のエステルをマウス内の特定の臓器に運び、その周辺の細胞内で合成研究を行う。一方、糖鎖高分子に対して遷移金属触媒を担持し、これを動物モデルに静脈注射して特定の臓器上に触媒を担持させる。さらにこの上で触媒により活性化されるアミド化反応やペプチド形成反応を実施して、生体内ペプチド合成を検討する。
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Research Products
(7 results)