2014 Fiscal Year Annual Research Report
協奏機能型不斉触媒を駆使するアジスロマイシンの効率的不斉全合成
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13F03518
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
柴崎 正勝 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 所長 (30112767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GANESH VENKATARAMAN 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 不斉触媒反応 / アルキルニトリル |
Outline of Annual Research Achievements |
アルキルニトリルは入手容易かつ安価・安定な化合物であり、特異的触媒の存在化でのみ炭素求核剤とすることができれば非常に有力な炭素ー炭素結合生成反応を提供する。そこで、アセトニトリルを求核種前駆体として用いた触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応の探索を行った。ソフトLewis酸とBronsted 塩基から成る協奏機能型触媒を用い、ニトリルがソフトLewis酸により特異的に活性化されることでα位水素の酸性度が上昇し、温和な塩基により活性求核種であるα-シアノカルバニオンが触媒的に系中調製可能と予測した。広範な応用が期待されるアルデヒドを求電子剤とする反応を検討した。本反応は,強塩基であるtert-ブトキシドを用いる触媒系による77% eeが文献上の最高光学収率であり、高い立体選択性を発現する反応系の開発が強く望まれている。斎藤らはRh(OMe)/PCy3がアルキルニトリルのアルデヒドに対する直截的付加反応に有効であることを報告している。より電子供与性が強く、かつ容易に不斉修飾が可能な不斉カルベン配位子を本反応系に適用し、汎用性の高いアセトニトリルの触媒的不斉付加反応を開発する事とした。各種Lewis酸と不斉配位子を検討した結果、芳香族アルデヒドとアセトニトリルとの反応において、Rh(OMe)/キラルNHC錯体が望みの付加体を中程度の立体選択性で与えることを見いだした。本反応は種々のアルデヒド、アルキルニトリルに適用可能で、中程度ながら光学活性β-ヒドロキシニトリルを直截に与える特異な反応である本成果は国際学術誌Chemistry ―A European JournalにHot Paperとして受理されている(Chem. Eur. J. 2014, 20, 15723-15726)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非常に困難なアルキルニトリルのC-H活性化に取り組み、中程度のエナンチオ選択性ながらも円滑な反応の進行を促進する触媒系を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
より困難な反応ターゲットとして、アルキルニトリルを求核種前駆体とする触媒的不斉炭素ー炭素結合形成反応を探索する。本反応のトリガーはニトリルの官能基選択的認識・カルボアニオン化であるため、将来的に複雑分子の多段階合成の後期ステージにおける不斉炭素反応としての利用が見込まれる。我々の研究室では、Rh/不斉NHC錯体を利用するアルキルニトリルのアルデヒドへのダイレクト型触媒的不斉付加反応を開発しているが、立体選択性に未だ課題を残している。次年度は本触媒系を凌駕する触媒活性と立体選択性を発現する高機能触媒の創製を目指す。電子供与性の高い配位子が触媒活性と相関がある傍証が得られつつあるため、電子供与性をより高めたピンサー型配位子を包括的に検討する。ピンサー型配位子を用いた遷移金属錯体のリジッドな分子骨格は、立体選択性の向上にも大きく寄与すると期待される。
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