2013 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ帯円偏光二色性分光法による水和状態のタンパク質および液晶の動態研究
Project/Area Number |
13F03701
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
谷 正彦 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NIEHUES Gudrun 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 外国人研究員
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Keywords | テラヘルツ波 / テラヘルツ時間領域分光 / 円偏光二色性 |
Research Abstract |
本研究課題では、水和状態のタンパク質のテラヘルツ帯円偏光二色性分光を行い、タンパク質のテラヘルツ(THz)帯の固有振動モードやゆらぎなどの動態研究を行うことが目的である。通常、水和状態、水溶液状態のタンパク質のTHz帯振動モードは水の強い吸収および大きな不均一拡がりに阻まれて、観測が困難になっている。しかし、生体分子固有の右円偏光と左円偏光の吸収差(円偏光二色性)を測定することで、水分子(円偏光二色性を示さない)に邪魔されずにタンパク質分子固有のスペクトルを観測できることが期待される。タンパク質のTHz帯円偏光二色性スペクトルからタンパク質の固有振動モードや緩和モード、さらにはタンパク質の機能に関連した動的な振る舞いについての知見を得ることができる。 THz帯の円偏光二色性は弱いため、まずテラヘルツ分光装置の高感度化を図る必要がある。同時にTHz帯の高性能な偏光子あるいはわずかな偏光の違いを高感度で検出する手法を開発する必要がある。このため初年度であるH25年度は、偏光敏感な高感度テラヘルツ時間領域分光(THz-TDS)装置を構築することに注力した。偏光敏感なTHz分光には高精度のTHz波偏光子が必須である。このため高性能なWire-Grid型のTHz波偏光子を協力企業と共同開発した。一方で、広帯域THz波発生素子として非線形光学結晶のLiNbO_3,を用いた素子を開発した。また広帯域THz波検出用の素子として、金属導波路構造を利用した光伝導アンテナ素子を試作した。これらの素子とWire-Grid型THz波偏光子を組み合わせた、偏光敏感な高感度テラヘルツ時間領域分光(THz-TDS)装置の構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り, 偏光敏感な高感度テラヘルツ時間領域分光(THz-TDS)装置の構築を行うことができた。一方, 予定していたアミノ酸など比較的単純な生体分子の分子動力学(MD)計算は, ソフトウエ整備が遅れたため実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
偏光敏感な高感度テラヘルツ時間領域分光(THz-TDS)装置の構築を行うことができたので, その性能評価をまず実施する。モデル物質として有機分子結晶や液晶などを用いて, テラヘルツ帯円偏光二色性の測定を試みる。円偏光二色性が観測されない場合は, より多くのモデル物質を探索するとともに, Wire-Grid偏光子を多重に重ねるなどして, 偏光検出感度を高める工夫をする。分子動力学(MD)シミュレーションについては, 計算のためのソフトウエア(Mathematica)を当該年度予算で購入したので, プログラムを組んで, モデル物質についてのシミュレーション計算を実施する。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Properties of the Solar Cell Material CZTSe as a THz Emitter2014
Author(s)
Gudrun Niehues, Stefan Funkner, Yongwei Li, Elmer Estacio, Qifeng Han, Wangzhou Shi, Kohji Yamamoto, Quixin Guo, Zhenyu Zhao, and Masahiko Tani
Organizer
The 5th International Workshop on Far-Infrared Technologies 2014 (IW-FIRT 2014)
Place of Presentation
University of Fukui, Fukui, Japan
Year and Date
20140305-07
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[Presentation] Probing THz Emission from the Solar Cell Material CZTSe2014
Author(s)
Gudrun Niehues, Stefan Funkner, Yongwei Li, Elmer Estacio, Qifeng Han, Wangzhou Shi, Kohji Yamamoto, Quixin Guo, Zhenyu Zhao, and Masahiko Tani
Organizer
8th Asian Conference on Ultrafast Phenomena (ACUP 2014)
Place of Presentation
Kobe, Japan
Year and Date
20140120-22
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