2014 Fiscal Year Annual Research Report
1910年代における日本の朝鮮植民地統治とキリスト教教育
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13F03726
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
板垣 竜太 同志社大学, 社会学部, 教授 (60361549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHAPIRO Michael 同志社大学, 社会学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キリスト教青年会(YMCA) / 帝国日本 / 植民地朝鮮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究目的は、日本帝国とグローバル規模のキリスト教伝道事業を代表するキリスト教青年会(YMCA)との二重の枠組みの中で、日本と朝鮮におけるキリスト教徒がどのような関係を結んだのかを解明することにあった。 この目的に向けて同志社大学の図書館・図書室を利用し、朝鮮人と関わりが深かった日本キリスト教徒(特に海老名弾正と吉野作蔵)についての資料調査を行った。また、東京に長く留学した経験を持っていた朝鮮人キリスト教徒である張德秀 (チャン・ドクス)と李光洙 (イ・グァンス)についての研究については、佛教大学の図書館を利用して資料調査を行った。朝鮮YMCA運動に大きい影響を及ぼしたと思われる中国YMCA運動の起源について京都大学の図書館を利用して調べ、ミネアポリスのミネソタ大学とイーエル大学の神学図書館に出張し、日本・朝鮮・中国のそれぞれのYMCA運動の起源と相互関連について資料調査を行った。コロンビア大学のバーク図書館で植民地朝鮮におけるキリスト教弾圧事件としてよく知られる105人事件についての資料調査をおこなった。各場所で収集した資料を読み進めた。 2014年9月22日、早稲田大学の韓国学研究所で開かれた若手夏季研究会で研究発表を行った。早稲田大学が企画している『韓国学論集』に「日本帝国の支配下における朝鮮キリスト教青年会(YMCA)と精神教育の戦略」という日本語の論文を投稿し、掲載されることになった。今年は米国のアジア学協会(AAS)の年次研究会に向けて、「日本帝国とグローバル規模のキリスト教」という研究パネルを日本の大学に在籍する研究者から組み、2015年3月22日に研究会開催場のシカゴ・シェラトン・ホテルでパネル発表を行った。このパネルは、トランスナショナルなテーマを取り上げるパネルを表彰する、F.ヒラリー・コンロイ賞(F.Hilary Conroy Award)をAASから受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究目的に沿って論文を1本公表し、パネル発表もおこなったため、目標は大体において達成できたと思われる。また、プロテスタント教徒だった徳冨蘇峰が朝鮮総督府の御用新聞であった『毎日申報』の監督として果たした役割を取り上げる論文と、日本・朝鮮・中国のYMCA運動の起源と相互関連を取り上げる論文を近いうちにまとめて発表できる段階にまで準備を進めることができた。本研究が最終目的とする博士論文を単著として出版することに向けて北米大学の出版会社への申請の準備も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下の三つの通りである。 ①前年度の研究結果を論文にまとめて発表する。 ②日本国内と韓国の大学への最終的な出張と資料調査を実施する。(特に東京の国会図書と外務省史料館と熊本大学、及び韓国の延世大学と安昌浩(アン・チャンホ)記念館に出張をする予定である。) ③本研究の最終目的である、博士論文を単著として出版するために、北米の大学出版社に申請をする。
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Research Products
(2 results)