2013 Fiscal Year Annual Research Report
視床軸索が引き起こすポストシナプス細胞との回路形成メカニズム
Project/Area Number |
13F03737
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
下郡 智美 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YOUNG Timothy 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 視床軸索 / マウスバレル皮質 / 遺伝子 / 神経回路形成 |
Research Abstract |
発生時、神経回路が形成される過程において、軸索誘導されたプレ側のアクソンがポスト側の細胞と接合するイベントが起こる。これらの軸索誘導などの回路形成のメカニズムは明らかにされている点が多いが、視床軸索投射が大脳皮質形成に与える役割は明らかにされていない。そこで視床軸索が大脳皮質へ侵入する時期に特異的に視床に発現する遺伝子の単離を試みた。この実験には感覚神経野へ投射する回路である視床核と大脳皮質第一次感覚野にあるマウスのバレル皮質を用いた。視床核に子宮内遺伝子導入法を用いて、リボゾームにGFP蛍光タンパクが結合したL10aプラスミドを導入し、GFP抗体による免疫沈殿法によってL10aリボゾームに結合しているmRNAの精製を行った。詳細にはGFPを発現している領域をマイクロダイセクションし、組織をすりつぶした後、mRNAを抽出、GFP抗体による免疫沈降を行い、今後マイクロアレイにかける十分量のmRNAが精製された事を確認した。今後はこの手法を用いて、視床軸索に発現し、大脳皮質の発生に影響を与える遺伝子を確定する。これには、マイクロアレイによって得られた候補遺伝子の発現パターンを確認し、時期場所特異性のある遺伝子については子宮内遺伝子導入法を用いて機能解析を行う。これらの結果は、神経回路のプレ側の細胞が回路形成時にポスト側の細胞内の遺伝子発現を制御し、ポスト側の細胞の形態変化のコントロールや機能を決定するメカニズムを明らかにする事となり、新たな神経回路形成メカニズムを導きだす事となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視床軸索から抽出されるmRNA量が当初予想していた量より大幅に少なかったが、子宮内遺伝子導入法の改良を加えて、得られるマウスの個体数を増やしたことから大旨予定通りの進捗状況であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後のマイクロアレイ実験のために総量200mgのmRNAの精製を目指している。現段階では50%程度の収量が得られており、今後数ヶ月で100%に達することが予測される。十分なmRNAの収量に達した段階で、マイクロアレイを行い、視床軸索に特異的に発現している遺伝子を単離、すべての候補遺伝子の発現パターンの確認、さらに絞り込まれた候補については子宮内遺伝子導入法を用いた機能解析を行い、視床軸索で発現される遺伝子のポスト側の細胞への影響を解析する。
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