2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13F03746
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 直哉 東京大学, 大学院工学系研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LUGG Nathan 東京大学, 大学院工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | STEM / 界面 / 定量解析 / 原子分解能EDSマッピング |
Research Abstract |
本研究では、次世代材料開発の基盤評価技術の確立を目指し、これまで定性的にしか評価し得なかった材料内部の局所元素を、単原子カラムの精度で定量評価する技術を開発する。本技術には電子線を極限まで絞りこむ走査型透過電子顕微鏡法(STEM)をベースとし、電子線と局所原子・電子構造との様々な反応・相互作用を情報源として原子レベルでの定量化を試みる。本年は、特にSTEM-EDS法に着目し、本手法を原子分解能界面構造解析に応用可能な手法へと発展させることを目指した。本年は、ZrO2粒界をモデル界面とし、その粒界における原子分解能STEM-EDSマッピング実験結果と理論計算とを融合させることで、界面構造定量解析の可能性を検討した。ZrO2には通常Y203が添加されているが、このYが粒界部に偏析することで界面機能、特に酸素イオン導電性に大きな影響を及ぼすことが知られている。しかし、Yの存在状態を原子レベルで調べることは極めて困難であるため、原子分解能STEM-EDSの利用が期待されている。そこで、Zr02粒界におけるSTEM-EDSマッピングの理論解析を行うにあたり、まず界面解析用に理論計算コードを改良し、大きな計算セルでのシミュレーションを可能にする改良を行った。次に、実際の界面構造モデルを用いて原子分解能STEM-EDSの定量性を検討した。その結果、高対称結晶軸からの電子線入射時の場合、理想的な組成からずれた定量結果が得られることがわかった。一方、電子線入射方向をずらしていくと、理想値に近づくことがわかった。本結果は、原子分解能STEM-EDSの定量性には、結晶中での電子チャネリングの影響が顕著に表れる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、現実の粒界において計測された原子分解能STEM-EDSマッピングの結果を定量解析することを目的として、理論計算によって求められた粒界構造を用いて粒界近傍における電子チャネリング効果などを取り入れたSTEM-EDSマッピングシミュレーションを展開している。この場合、粒界構造を考慮するため、計算コストが大きくなることが危惧されたが、プログラムの改良などを行うことにより克服し、順調に解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き原子分解能STEM-EDSマッピングの定量評価基盤構築を継続するとともに、STEM像、STEM-EELSについても定量化に向けた研究を推進する。本研究では、特に原子構造が複雑に変化する界面をターゲットとしているため、界面構造解析応用に特化した開発を行い、局所的に構造が乱れた領域においても応用可能な定量評価法の確立を目指す。
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Research Products
(1 results)