2013 Fiscal Year Annual Research Report
海洋の溶存酸素量の変化に対する魚類の生理、生態的な応答
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13F03749
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
高橋 晃周 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NICHOLAS Payne 国立極地研究所, 研究教育系, 外国人特別研究員
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Keywords | クロダイ / エイ / サメ / 生態 / 酸素 |
Research Abstract |
2014年2月に広島湾において、クロダイの調査の下見をした。湾内に設置されているカキの養殖棚を訪れ、そのすぐ下にクロダイが群れていることを目視に確認した。さらにまわりの地形を視察し、記録計の装着、回収作業が可能であることを確かめた。 3月にはハワイのカネオヘ湾において、魚類の生態調査を実施した。湾内に延縄をしかけ、計7個体のアカエイを捕獲し、記録計を取り付けて放流した。そのうちの1個体には、記録計に加えてビデオカメラを装着した。記録計は2、3日後にタイマーで魚体から切り離し、海面に浮かんだところを電波信号を頼りに回収した。また、同じく延縄によってカマストガリザメを一匹捕獲し、記録計とビデオカメラとを取り付けて放流した。こちらもタイマーで機器を切り離し、電波を頼りに回収した。 得られた記録からはアカエイの行動パターンを詳細に読み取ることができた。アカエイは能動的に上に向かって泳いでは、受動的に海底まで下降するという、独特の遊泳パターンを繰り返していた。そしてその動きは、ビデオカメラの映像からも視覚的に確かめることができた。海底近くには溶存酸素量の薄い層ができていて、それを避けるためにアカエイは繰り返し上下に泳いでいると考えられた。また、上下の動きは夜の方が多く、アカエイは夜行性であることがわかった。 一個体だけはあるが、カマストガリザメの行動パターンも明らかになった。このサメは、10~20メートルほどの深さと海面との間を、ひっきりなしに往復していた。ビデオカメラの映像から、ときには背びれが海面に出るくらいまで浮上していることが確認された。このような動きは、効率よくエサを探すための動きだと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データを集めることができたうえに、解析もすすんでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
アカエイとカマストガリザメの行動データの解析を進める。とりわけ、貧酸素が魚類の行動に与える影響について、生理学的な知見をともに解析を進めていく。いっぽうで、新しい魚種のデータも積極的に集めていく。
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Research Products
(1 results)