2013 Fiscal Year Annual Research Report
高密度二酸化炭素中で優れた可溶化性能を発揮する炭化水素系界面活性剤の開発
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13F03768
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
吉澤 篤 弘前大学, 大学院理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JAMES Craig 弘前大学, 大学院理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 界面活性剤 / 二酸化炭素 / 可溶化 / マイクロエマルション / 炭化水素 / 分岐 / 小角中性子散乱 / 分子集合体 |
Research Abstract |
平成25年度では、スルホサシネート親水基と4つの疎水基(ブチル、ヘキシル、オクチル、2-エチルヘキシル、イソブチル、またはsec-ブチル)がアミド結合した6つのヘッジホッグ界面活性剤を合成した。それぞれ疎水基別に、QC4, QC6, QC8, QCAOT, QC4-Br1とQC4-Br2と略記する。水溶液の界面化学的物性を評価したところ、QC4とQC6の臨界ミセル濃度(CMC)は、それぞれ22.5mMと0.5mMであった。CMCにおける表面張力は、QC4が36mN/mとQC6が30mN/m (CMCの20倍農濃度では26.6mN/m)であった。長い炭化水素鎖を持つ界面活性剤QC8とQC-AOTは、水に不溶だが、分岐した短鎖のQC4-Br1とCQ4-Br2は水溶性であり、気/水界面の表面張力を30mN/m程度まで低下させた。 英国Rutherford Appleton研究所のISISにて、小角中性子散乱(SANS)測定を行い、分子集合体のナノ構造を評価した。QC4とQC6水溶液では、ミセルと思われる荷電した小さな楕円体状分子集合体と、大きな多分散の楕円体状分子集合体の共存を観測した。QC6水溶液では、CMCの5倍で、界面の不明瞭な球状分子集合体を、CMCの10倍および20倍では, 典型的なコア/シェル構造の分子集合体を確認した。この分子集合体は、コア半径13Åとシェルの厚さ20Åをもっており、単分子膜(13Å程度)にしては厚すぎるシェルから、ナノベシクルの形成が示唆された。QC4-Br1とQC4-Br2水溶液は、全く散乱がなかったため、ミセルではなく、相分離を起こしていると考えられる。QC4-Br1とQC4-Br2は、残念ながら分子集合体の形成を示すSANSデータは得られなかったが、CO_2によく 溶解することが確認されており、初期の目標であるCO_2溶解性界面活性剤の開発を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、6つの新規界面活性剤を合成し、界面化学的評価を終えており、まだ、超臨界CO_2中での分子集合体の形成こそ達成できていないが、CO_2溶解性を持つ界面活性剤め開発には成功しているため
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Strategy for Future Research Activity |
4つの疎水基を分子内に持たせることで、高いCO_2溶解性を付与させることを試みてきた。しかし、得られた結果から、疎水基があまりにもかさ高く疎水基を良好に界面に配列させることができていないように感じられる。したがって、良好な配列を得るために、これまで利用してきたスルホサシネート(ROCOCH_2CH_2(-SO_3Na)COOR)よりも、大きな親水基を採用する。今後は、メチレンスペーサーを1つ長くしたスルホグルタレート(ROCOCH_2GH_2CH_2(-SO_3Na)COOR)を親水基に採用し、無理のない分子パッキングとCO_2中での分子集合体形成を達成させる4鎖型界面活性剤の開発を進める。
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Research Products
(4 results)