2013 Fiscal Year Annual Research Report
先端イオンビーム技術に立脚したエネルギー変換材料の表面解析
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13F03770
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石原 達己 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TELLEZ-LOZANO Helena カーボンニュートラル, エネルギー国際研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 低エネルギーイオン散乱 / 表面濃縮 / 水蒸気電解 / 空気極 |
Research Abstract |
水蒸気電解用の空気極および燃料電池の空気極として、優れた活性を示すことが分かっている LnBaCo_2O_<5+6>(Ln=GdおよびPr)系ダブルペロブスカイト型酸化物において、電解条件での電極特性を検討し、これらの酸化物が良好な空気極特性を示すことを見出した。そこで、表面組成の変化を低エネルギーイオン散乱分光法(LIES)分析により行った。その結果、400℃という比較的、温和な状況でアニールしたところ、表面にNaおよびCa/Kが不純物相として濃縮することが分かった。これらはもともと原料由来の不純物と推定される。いずれにしても非常に初期の、温和な条件でもNaなどの不純物が表面を覆うことから空気極は失活しやすいものと推定される。一方、Pr系とGd系を比較したところ、Pr系では表面のPr濃度が低いが、Gd系では表面のGd濃度が高く、失活しにくいことがわかった。そこで、今後、空気極の安定性を議論する際には、このような表面濃縮の観点からも検討を行うと良いと思われる。 次に、類似の検討をLa_2NiO_4系酸化物についても行った。その結果、La_2NiO_4についても不純物に由来する表面へのNaの析出が観測された。Naの析出は、表面での酸素の乖離活性を抑制すると推定されることから、^<18>Oの拡散焼鈍を行い、酸素の乖離活性点とNa濃度との関係をLIESイメージングにより、検討した。その結果、Naの濃縮した点においては^<18>Oの濃度が低くなったことから、Naの表面へのコンタミにより、表面の酸素の乖離活性が大きく低下し、酸素はLa濃度の高い、Naの表面濃縮の無い点からおもに乖離して拡散することが推定される。今後は不純物の少ない試料を用いて、このような表面コンタミと酸素乖離活性の関係をさらに検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、初年度は材料の空気極特性と表面酸素乖離活性の関係を明確にしようと考えており、ほぼ目標とした成果を得ることができている。一方、コンタミの影響はあるものの、期待したように表面には^<18>O濃度の高いスポットがあり、活性点がLIES分析で見えつつあるのは当初計画以上になる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は材料由来の不純物を削減し、より表面に濃縮しやすいアルカリ等を含まない、清浄な表面において、酸素乖離活性と表面組成の関係を議論する予定である。初年度は燃料電池や水蒸気電解に集中したが、26年度からは、当初の計画に従い、Liイオン電池の表面膜組成と充放電性能などに、研究を展開する予定である。
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Research Products
(3 results)