2013 Fiscal Year Annual Research Report
バイオカルチャーに関する法律業:変動、変化、癒しの環境法への導入
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13F03778
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
蟹江 憲史 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SANJAY KABIR Bavikatte 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 集団的トラウマ(collective trauma) / 伝承(myths) / 通過儀礼(rites of passage) / 先住民(Indigenous peoples) / ヒーリング(healing) / 生物文化的(biocultural) / 環境法(environment law) / ストーリー(Stories) |
Research Abstract |
今年度は、本研究の主軸となる5つの研究活動を遂行した。1)文献調査、2)関連文献と現在の事例についての批判的分析、3)南アフリカ、ミクロネシア、韓国、米国において現地視察、現地の関連研究者とのミーティング、4)3本の論文(査読済、今後発表予定)、1件の記事、1冊の本、1つのブログとグラフィック・ナレィティブの最初の部分の完成、5)次年度の活動概要の作成である。 2014年3月には、研究計画に則り米国のSchool of Lost Bordersにてフィールドワークを実施。伝承、儀式等をベースにアメリカ先住民のリーダーたちが自然を用いて行ったヒーリングモデルを学び、本研究に応用しうる事象として、自然との関わりにおける神話が現代においても人々が直面する精神的な困難を癒すことを確認した。 次年度は南アフリカのコイサンを訪れ、彼らの伝承、儀式にあわせてSchool of Lost Bordersのモデルを使用し、紛争解決に導き、その実験から生物多様性保全のための進歩的な政策の実施・採択を促進するために、リーダーシップ、ガバナンス、紛争解決等のプロセスの考察に導く。 本年度の研究が明らかにしたことは、ヒーリングと変容における伝承と儀式の重要性について、文化人類学、精神分析学、社会学の観点から取り組まれている研究は幾つかあるが、その研究成果が如何に法律と政策の整備と施行において情報を提供し得るかという点での研究と実践は、殆どなされていないこと。さらに、文化的に破壊され実質的に土地を奪われた先住民の集団的トラウマの対処に、伝承と儀式を再生・適応させることに関する研究や文献は十分に存在しないということである。よって続く研究では、伝承と儀式を先住民の集団的トラウマへの対処に用いるため、様々な試みを実施、応用、試行を行う。それらを通して、次の段階では、先住民に影響を及ぼす環境法と政策の整備と施行において、この取組が効果的に情報を提供し補完するための方法を導き出していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に則って研究を進展させることができた。本件研究は、これまで法律と政策策定においては全く研究されていない分野であるため、困難ではあるが、価値のある研究である。現状では重大な問題として認識されていないため、このような研究について精通している法律や政策分野のグループや専門家がいないことがより大きな課題である。この分野における多くの専門家は文化人類学や心理学が専門で、政策立案に彼らの知見や研究を十分に結びつけることが出来ていないため、今後は彼らの知見を本研究分野に適合させ、この研究を政策分野に持ち込むために必要不可欠な関連研究者、専門家グループを形成する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の本研究の方針として、次の手順に取りかかる予定である。1)現在の研究内容や結果を新聞、ブログ、雑誌、マンガなど人気のあるメディアを通じ公表する。2)これにより、本研究に対して研究分野の垣根を越えて興味を喚起する。望ましくは環境政策に携わる人々の関心を刺激し、彼らを引き込む。3)そのような関心の喚起がこの問題にフォーカスする研究者・専門家グループの活動の起点となり、現状のわずかな解決策と研究に多様性を生じさせる。4)現状の理解をより深めるために、現地視察、試行、会議・コース・プログラムへの参加を通じ、研究と教育を行う。5)このフェローシップ終了後、本研究の結果を実行に移すための本格的なプロジェクトの始動のため、パートナー機関との協力を強化する。
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Research Products
(4 results)