2013 Fiscal Year Annual Research Report
酵母Candida boidiniiの自然界・工業利用における適応の分子機構
Project/Area Number |
13F03782
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阪井 康能 京都大学, 農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAFFIAN Delia 京都大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | メタノール資化性醇母 / 異種遺伝子発現 / 環境適応 / Candida boidinii |
Research Abstract |
メタノールを単一炭素源、エネルギー源として利用できるメタノール資化性酵母は、強力なメタノール誘導性プロモーターを利用した異種遺伝子発現系の宿主として広く利用されている。一方自然界では、メタノール資化性酵母は植物から放出されるメタノールやその他有機物の分解産物として生じるC1化合物を酸化するため、炭素循環において重要な役割を果たしている。本研究では、メタノール資化性酵母の植物葉上での環境適応にどのような遺伝子、タンパク質が必要か、どのような生理機能をもっかを明らかにするとともに、自然界での環境適応メカニズムの異種遺伝子発現系への活用を目指している。 メタノール資化性酵母Candida boidiniiのゲノム情報を基に、他の酵母でオルガネラホメオスタシスやシグナル伝達に関わることが報告されているがC. boidiniiでは未同定の遺伝子を選抜し、その遺伝子クローニングと遺伝子破壊を行った。いくつかの候補遺伝子について、今後シロイヌナズナ葉上での増殖能を調べる。一方、異種遺伝子発現系への活用については、これまでにC. boidiniiにおいて高生産に成功している有用酵素をモデルタンパク質として、誘導速度の向上やタンパク質分解抑制を目指した遺伝子破壊株を宿主とする発現株の構築を行った。特にMIG1はグルコース抑制からの解除に働く遺伝子であり、その破壊株ではメタノール誘導の開始が早まることを確認しており、今後モデルタンパク質の発現レベルの評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象とする遺伝子のクローニングと遺伝子破壊を既に完了しており、一部の候補遺伝子については、葉上での増殖能評価、ならびにタンパク質生産性評価に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、得られた遺伝子破壊株について、葉上での増殖能評価とタンパク質生産性評価を行うとともに、葉上だけでなくin vitroでの培養条件での表現型解析や遺伝子発現解析、生化学的な解析を行い、様々な環境適応時における生理機能を解明する。
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