2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞骨格の病変や化学物質が筋肉の機械特性に及ぼす効果の研究
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13F03799
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 博之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90134642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SEGARD Bertrand-David 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞力計測 / 病的変異体 / 筋繊維収縮能 / マイクロデバイス / シリコンナノピンセット |
Outline of Annual Research Achievements |
デスミン(筋アクチン架橋タンパク質)やαB-クリスタリン(低分子ストレスタンパク質)などの病的変異は筋障害に関連することが知られている。本研究では、これらの病的変異体が筋肉細胞に与える影響を、骨格筋組織を忠実に模した組織を用いて、筋細胞の収縮能・弾性・粘性について測定をすることを目的とし、研究を遂行した。平成26年度は、昨年度に引き続き、標的タンパクを持つ筋細胞を生成するためのプロトコルの最適化を行った。C2C12細胞に対して特定のプラスミドを導入して分化させ、目的とするタンパク質の発現のために繰り返し最適化を行った。
タンパク質(デスミン)の発現については、コントロール、変異型、野生型、に関して状態を検証した。3種類の変異型S46Y, D399Y, S460Yを用いたところ、S46Yについては発現量が多すぎる結果となり、D399Y, S460Yでは、2つの間で比較実験を行える発現量が得られた。これらの実験では、細胞培養の溶媒の種類、培養時間、培地・細胞濃度について、それぞれ最適化を含めた実験を行い、再現性が得られるプロトコル確立を目指した。 作製した変異型細胞は、世代が変わるに従って、野生型の細胞となる様子が観察された。 分化した細胞の凝集状態の把握については、特定タンパク質が多く発現した細胞について、このタンパクの凝集が見られた。詳細な凝集状態を観察するためには、共焦点顕微鏡が必要であったため、発現量と凝集状態についての詳細な検討は行っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
26年度では、マイクロデバイスを用いて細胞の刺激印加・応答計測を予定していたが、これは実施しないこととした。この理由は、当初予想していたよりも、標的タンパク質発現に時間を費やすことがわかり、予定した複数の研究項目から、重要項目へ絞る必要があると判断したためである。我々は、細胞の機械特性評価を優先的に行うこととした。マイクロデバイスを用いた、細胞の電気的刺激・応答計測については、既に比較的多く研究が行われているが、機械特性評価については、探針を用いた局所計測が主流である。当研究室で作製したシリコン製のナノピンセット(細胞把持・力計測デバイス)では、機械特性に関する新規の情報を得られると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、シリコン製のナノピンセットを用いて、生成した筋細胞の収縮特性や機械特性を計測・評価する。シリコンナのピンセットは、単一の細胞の把持が可能であり、高い分解能で測ることができるため、個別の細胞についても詳細なデータを得ることができる。 細胞の機械的な特性(収縮能・弾性・粘性)、これらの経時的変化、について計測を実施する予定である。これらが順調に遂行できたのちは、細胞組織分解酵素を投与した場合の細胞の変性を計測することも計画中である。
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Research Products
(1 results)