2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13GS0004
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
森 義治 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 客員教授 (30124176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 徳思 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 特別研究員 (80028224)
仁木 和昭 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助手 (20242167)
高木 昭 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助手 (10100819)
榮 武二 筑波大学, 臨床医学系・陽子線医学利用センター, 助教授 (60162278)
菊池 健 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 名誉教授 (70022530)
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Keywords | 加速器 / 癌治療 / エネルギー全般 / 放射線・X線・粒子線 / 生物・生体工学 / 人間生活環境 |
Research Abstract |
本年度の主たる研究実績は、次のとおりである。 (1)FFAG加速器の開発:昨年度までの研究において、ビーム加速・取り出しに関する基本的な性能を確認したが、本年度では、さらに、高性能化を目指した開発研究を行った。そのなかで特筆すべき成果は、100Hz高繰り返し運転の達成、および、ビーム入射・加速・取り出しの各段階でのビーム損失を低減させ90%以上のビーム加速・取り出し効率の達成である。さらに、これらの成果にもとづき文部科学省の放射線発生装置としての施設検査に合格し、ビーム応用加速器としての認可を得た。本研究における100Hzの高繰り返し運転の達成は、癌治療用として将来の高度治療として希求されている高速スポットスキャニング治療を可能とさせ、FFAG加速器の医療分野への応用に道を開くものである。また、ビーム入射・加速・取り出しにおいて高効率化を図り、入射ビームのほぼ90%以上を加速ならびに取り出すことに成功した。これは、特に高周波加速における位相・電圧の時間的変化の最適化、ビーム取り出しにおけるセプタム電磁石の改良により達成された。 (2)医療応用のためのスポットスキャニングの基礎研究:本研究におけるFFAG加速器の開発において、100Hzの高繰り返し加速運転が実現したことにより、将来の粒子線がん治療装置において大きな期待を集めている高速パルスによるスポットスキャンニングのための次のような基礎的実験を行い、所定の目的を達成した。高繰り返しパルスビームによる深さ方向の相対的線量測定を行い、高繰り返しパルスビームの線量分布の安定性等に問題ないことを実証した。また、2次元的なスキャンニングにおいて、十分なビーム線量の安定性が得られることを確認した。 (3)加速器小型化のための超伝導電磁石の基礎開発:将来のFFAG加速器の応用において、加速器の小型化ならびに省エネルギー化を図ることは重要である。このための超伝導電磁石の開発研究は、昨年度までの設計・検討にもとづき、本年度ではモデル超伝導電磁石の製作を行った。さらに、これを常温ならびに液体ヘリウム温度での超伝導状態でそれぞれ磁場測定を行い、FFAG加速器用として要求される十分な磁場性能が得られることを確認した。以上のように、本研究ではエネルギー100MeV級のFFAG陽子加速器の開発に成功し、それに関連する各研究開発項目について目標とした成果を得ることができた。また、これらの成果は国内外の研究機関でのFFAG加速器への注目集めるとともにその研究・開発に大きく貢献している。さらに、本FFAG加速器が正式な放射線発生装置として認可され、そのビームを用いたいくつかの応用研究がすでに行われたことは、汎用加速器としてのFFAG加速器の有効性を示したものである。
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Research Products
(5 results)