2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13GS0007
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 憲作 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60008563)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 伯 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50281647)
山口 正洋 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60313102)
|
Keywords | 腐敗臭 / 嗅覚 / 嗅球 / 僧帽細胞 / 房飾細胞 |
Research Abstract |
(1)ラット嗅球の「匂い地図」上で、食物の腐敗臭をコードする領域を決定 細菌により食物が腐敗すると、アミノ酸が細菌の脱炭酸酵素により分解され各種のアミンが生じるが、これらアミン類の多くは腐敗臭がし、食物の腐敗を示す嗅覚信号となっている。 ウレタン麻酔下のラットの嗅球に光学的測定法を適用し、「匂い地図」上のどの領域がアミン類に応答するのかを調べた。この結果、アミン応答糸球群は、嗅球の背側表面の内側部に集合しクラスターを形成することが判明した。これらの糸球クラスターはアミン類だけでなく、食物の劣化にともなう脂質の酸化によって生じるアルデヒド類や脂肪酸類のにおい分子にも応答した。このクラスター内のニューロンから細胞外単1ユニット記録法により活動電位を記録すると、多くのものが刺激終了後も数十秒にわたって活動電位をだし続けた。「匂い地図」内のこのアミン類応答クラスターは、食物の「不可食化」の嗅覚信号を担当している領域だと予想される。 (2)ラット嗅球「匂い地図」における僧帽細胞と房飾細胞の匂い応答特性の違い ラット嗅球において、僧帽細胞と房飾細胞の匂い応答の違いを比較した。この結果、僧帽細胞は周りの糸球群の活性と担当糸球の活性とのコントラストを感知して低頻度スパイク応答をするのに対して、房飾細胞は周りの糸球群の活性とは関係なく、担当糸球の活性を直接的に反映した高頻度スパイク応答をすることがわかった。この結果は、僧帽細胞と房飾細胞が嗅球「匂い地図」から匂い情報の異なる側面を抽出し、高次の嗅皮質へ送っていることを示唆する。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Taniguchi M., 他: "Distorted odor maps in the olfactory bulb of semaphorin 3A deficient mice"J.Neuroscience. 23. 1390-1397 (2003)
-
[Publications] Treloar H.B., 他: "Inverse expression of OCAM in a subset of olfactory axons and a subset of mitral/tufted cells in the developing rat olfactory bulb"J.Comp.Neurology. 458. 389-403 (2003)
-
[Publications] Mori K.: "Grouping of odorant receptors : odour maps in the mammalian olfactory bulb"Biochem.Soc.Trans.. 31. 134-136 (2003)
-
[Publications] Fukuda S., 他: "Two distinct subpopulations of nestin-positive cells in adult mouse dentate gyrus"J.Neuroscience. 23. 9357-9366 (2003)
-
[Publications] Kempermann G., 他: "Early determination and long-term persistence of adult-generated new neurons in the hippocampus of mice"Development. 130. 391-399 (2003)
-
[Publications] Nagayama S., 他: "Mitral and tufted cells differ in the decoding manner of odor maps in the rat olfactory bulb"J.Neurophysiology. (印刷中).