2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13GS0010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 健作 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (70128396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 一正 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (10312539)
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Keywords | アクチン細胞骨格 / 細胞運動 / 細胞極性 / LIMキナーゼ / コフィリン / Slingshot / カルシニューリン / アポトーシス |
Research Abstract |
アクチン細胞骨格は、細胞内外のシグナルに応答してダイナミックに再構築され、細胞の形態変化、移動、接着、分裂など細胞の動的活動を支える重要な役割を果たしている。本研究では、LIMキナーゼ(LIMK)とSlingshot(SSH)によるコフィリンのリン酸化、脱リン酸化経路を中心に、細胞骨格を制御するシグナル伝達機構の解明と、細胞運動、形態変化を時間的、空間的に統御するシステムの解明の研究を行い、以下の結果を得た。 1)SSH1の活性を制御する新たなシグナル伝達経路を解明した。EGFファミリー増殖因子であるニューレグリンは、MCF-7細胞のラメリポディア形成と運動性を促進する。このとき、コフィリンのリン酸化レベルが減少し、SSH1と非リン酸化型コフィリンはラメリポディアに集積することを明らかにした。また、SSH1はF-アクチンにより約10倍活性化されることを見出した。さらに、SSH1がSer-937とSer-978のリン酸化依存的に14-3-3蛋白質と結合することを明らかにした。Ser-978のリン酸化はニューレグリン刺激によって減少することから、ニューレグリン刺激はSSH1と14-3-3の解離を引き起こし、これによってラメリポディアへのSSH1の集積と活性化が誘導されると考えられる。これらのメカニズムは、細胞運動時のコフィリンの局所的な活性化機構として、細胞の極性形成と維持に重要な役割を担っていると考えられる。 2)コフィリンは細胞内カルシウムの上昇によって脱リン酸化されるが、私達はカルシウムの上昇によりカルシニューリンを介して、SSH1が活性化されることを見出した。 3)アポトーシス刺激によって、LIMK1がカスパーゼ3により切断され活性化されることを見出した。LIMキナーゼの活性化はアポトーシス時の膜泡状化に寄与していることが示唆された。
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