2014 Fiscal Year Annual Research Report
北太平洋生態系におけるサケ属魚類の栄養生態学と種間相互作用ネットワーク
Project/Area Number |
13J00002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
秦 玉雪 北海道大学, 農学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サケ属魚類 / 食性 / 安定同位体比分析 / 餌ニッチ / 栄養段階 / 速度論的同位体効果 / 密度依存効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
北太平洋とベーリング海におけるサケ属6種の食性の時空間変異を、胃内容分析と体組織の安定同位体比分析によって明らかにし,それらの変異に影響する要因を種間相互作用から分析した。胃内容物分析によれば,サケ属魚類では,種によって食性が異なり、同種であっても食性が環境変化により柔軟に変化することが示唆された。サケ属魚類は,動物プランクトン食のシロザケ・カラフトマスのグループ,動物プランクトンとネクトンの両方を餌環境に応じて摂餌するベニザケ・ギンザケのグループ,ネクトン食のマスノスケ・スチールヘッドトラウトのグループにわかれ,餌ニッチ幅はカラフトマス>ベニザケ=シロザケ>ギンザケ>マスノスケ=スチールヘッドトラウトの順であった。 サケ属魚類の栄養段階は,海域間で差が見られないが、種で異なり、シロザケ=カラフトマス<ベニザケ=ギンザケ<スチールヘッドトラウト<マスノスケの順に高くなった。サケ属魚類のδ15Nとδ13Cの分析結果から,サケ属魚類の栄養段階には速度論的同位体効果が作用していることが分かった。 サケ属魚類の栄養段階は、カラフトマスとシロザケ(3.5)<ベニザケとギンザケ(3.9)<スチールヘッドトラウト(4.1)<マスノスケ(4.3)の順であった。また,サケ属魚類の栄養段階と胃内容物の餌ニッチ幅との間には負の相関が観察され,栄養段階が低い種ほど多様な餌生物を摂食し,栄養段階の高い種は特定の餌生物(ネクトン)を摂餌していた。各海域生態系の餌生物とサケ属魚類には速度論的同位体効果がはたらいていることが示唆された。 結論として,サケ属魚類の食性は,進化的適応にもとづく種特異性から種の栄養段階はほぼ決まっているものの,速度論的同位体効果の影響をベースラインとする異なる生息海域の中で,海洋環境の変化と種内および種間の密度効果に対応して柔軟に変化することが示唆された。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)