2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J00020
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野口 健太 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 位相幾何学的グラフ理論 / 頂点彩色 / 偶角形分割 / current graph |
Research Abstract |
本年度は「四角形分割グラフ」に重点をおいて研究を行った。交付申請書に記載した、閉曲面上のグラフの彩色問題の中でも染色数が比較的小さくなる「偶角形分割グラフ」についての研究を以前から行っていたわけだが、その中でも特に四角形分割グラフに対して興味深い結果がいくつか得られた。例えば四角形分割グラフは球面上では染色数が2であったのに対し、一般二次元閉曲面上では染色数が大きくなる例が知られていた。そこで筆者は、染色数が3に近くなる「偶三角形分割グラフ」に注目して、四角形分割が偶三角形分割に拡張できる必要十分条件を与えたり、特徴的な彩色である「巡回的4一彩色」を持っ四角形分割の必要十分条件を与えたりした。これらの結果は博士論文「A Study on Even Embeddings of Graphs」としてまとめることができ、2年間で後期博士課程を修了することができた。 また偶三角形分割に拡張させる問題は、一般に閉曲面上のグラフの拡張問題と呼ばれるものであるが、この逆問題を考えることによってより研究の幅を広げることもできた。すなわち今回の例では、三角形分割が与えられたときに、その部分グラフとして四角形分割を探すという問題である。これにより与えられたグラフから、染色数が少ない部分グラフを取りだすことが可能となった。 申請書で度々触れていたcurrent graphに関しての結果は、横浜国立大学の渡辺樹氏との共同研究により、完全グラフの「奇角形分割埋め込み」を実現するcurrent graphを作ることに成功した。奇角形分割埋め込みとは全ての面が奇角形となるような埋め込みのことであるが、奇数の値を帰納的に増やしていく手法を発見することができ、局所的には非常に素なグラフ(辺の少ないグラフ)であるが全体としては染色数が大きなグラフを作ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
閉曲面上のグラフの特徴づけに関して、当初注目していたcurrent graphだけではなく、様々な手法を用いることにより解明が進んでいるから。実際「9. 研究実績の概要」で記したような、特殊な彩色を持つための必要十分条件を与える定理を生み出すことに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進んでいるので、申請書の年次計画におおむね沿って進めていきたい。
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Research Products
(10 results)