2013 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管新生における新規血管内皮細胞特異的遺伝子の役割解明
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13J00028
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松本 健 筑波大学, 医学医療系, 特別研究員(PD)
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Keywords | Lrrc33 / Arhgef15 / RhoJ / Gpr116 / 腫瘍血管新生 |
Research Abstract |
固形腫瘍の増殖には、腫瘍血管新生が必須である。腫瘍血管新生に重要な遺伝子としては、Vegf/Vegfr系、Fgf/Fgfr系、Angiopoietin/Tie2系などが挙げられるが、まだ多くの未同定な分子機構が存在することが想定され、腫瘍血管新生時に腫瘍血管内皮細胞・腫瘍細胞にどのような遺伝子が作用しているのか包括的に探索することが極めて重要である。我々は現在までに、血管内皮細胞を欠損するVEGFR2ノックアウトマウスを用いたマイクロアレイ解析から、マウス胚発生時の血管内皮細胞において高発現している遺伝子群を184遺伝子単離している。このうち、培養血管内皮細胞を用いたノックダウンモデルにより6遺伝子が血管新生促進に関与することを明らかにしている。 今年度、申請者はこのようにして得られた6遺伝子のうち4つの新規な血管新生関連遺伝子(Arhgefl5, RhoJ, Gpr116, Lrrc33)を対象として、それぞれのノックアウトマウスを用いて、腫瘍増殖あるいは網膜血管新生におけるそれぞれの役割を検討した。このうち、Lrrc33遺伝子ノックアウトマウスでは、皮下移植腫瘍の増殖が抑制され、抗癌剤との併用でも有意な抑制効果が認められた。Gpr116遺伝子ノックアウトマウスでは、新生児の網膜血管新生が有意に遅延することが認められた。Arhgef15遺伝子ノックアウトマウスでは、皮下移植腫瘍の増殖抑制は認められなかった。抗癌剤との併用で抑制効果が認めるか否かを今後検討する。RhoJ遺伝子ノックアウトマウスは、他グループが先行して報告した。今後、彼らの再現性を確認する。今年度、申請者は4遺伝子それぞれの役割を個体レベルで評価した。これら遺伝子それぞれの分子機能を詳細に解析することにより、癌の治療法改善に繋がることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究目的」を予定通り遂行した。「RhoJの腫瘍血管新生への役割解明」は、他グループから先行して報告があったため、再現性を確認するに留める。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、申請者は4遺伝子それぞれの腫瘍血管新生および網膜血管新生での役割を個体レベルで評価した。来年度は、これら4遺伝子それぞれの分子機能を解析することを目標にする。RhoJについては、他グループが先行して「腫瘍内部の血管内皮細胞でRhoJ遺伝子発現が失われると腫瘍血管の破綻を介した腫瘍の増殖抑制が認められること」を示したため、再現性は確認するが、RhoJ以外の3遺伝子(Arhgef15, Gpr116, Lrrrc33)を中心に来年度以降、検討を進める予定である。
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