2013 Fiscal Year Annual Research Report
イソチオシアネート類の分子標的の同定と作用分子機構の解明
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13J00046
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
安部 奈緒美 岡山大学, 環境生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イソチオシアネート / NF-kappaB / beta-catenin / 大腸がん |
Research Abstract |
これまでに申請者は、イソチオシアネート(ITC)類の一つであるベンジルITC (BITC)がヒト大腸がん細胞HT-29細胞において転写因子NF-kappaBのp65サブユニット(p65)の核内移行を誘導すること、および細胞増殖を抑制することを見出している。本年度は、BITCのp65の核内移行を介した細胞増殖抑制機構の解明に取り組んだ。RNA干渉法を用いたp65のノックダウンがBITCによるHT-29細胞の増殖抑制作用を解除したことから、BITCによる細胞増殖抑制作用にp65が必要とされることが明らかとなった。次に、大腸がん細胞増殖の主要な原因であるbeta-catenin依存的なcyclin D1の発現に対するBITCの影響を調査したところ、BITCはcychnD1の発現を抑制し、その作用はp65のノックダウンによって打ち消された。また、BITCはcyclin D1プロモーター上の正のシスエレメントへのbeta-cateninの結合の減少とp65結合配列上へのbeta-cateninの結合の増加を引き起こすと同時に、beta-cateninとp65のタンパク質問相互作用を増強した。さらに、mitogen-activated protein kinase (MAPK)のメンバーであるc-Jun N-terminal kinaseまたはp38MAPKの阻害剤を前処理したところ、BITC誘導性のp65核内移行が阻害されたことから、上流においてMAPK経路が関与している可能性がある。また、これらの結果は全て、高濃度のBITC処理では見られないことから、低濃度のBITC特異的な応答であることが考えられる。以上の結果から、BITCはp65によるbeta-catenin依存的なcyclin D1の転写の阻害を介してヒト大腸がん細胞の増殖を抑制することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ITC類の標的タンパク質を推定する上で必要となる下流の詳細な細胞内シグナルを解明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究は順調に進行していることから、特に特別な推進方策をとる予定はない。
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Research Products
(6 results)