2013 Fiscal Year Annual Research Report
シロウリガイ類化石群集の産状と応力場解析に基づくメタン湧水場形成条件の解明
Project/Area Number |
13J00075
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
宇都宮 正志 横浜国立大学, 環境情報学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 冷湧水性化学合成化石群集 / シロウリガイ類 / 前弧海盆堆積物 / 上総層群 / 三浦層群 / 石灰質ナノ化石 / 層序 |
Research Abstract |
研究代表者は, 堆積盆の変遷とメタン湧水活動の関係を明らかにすることを目的に, ①三浦半島北部のシロウリガイ類化石群集の産状と含化石層の堆積相からメタン湧水場の形成環境を推定し, ②産出層準周辺の地質構造と応力場変遷に基づきその形成条件を解明する, という課題を設定して研究を行った. これらの課題を達成する上での問題点は, シロウリガイ類化石の産出がその場所にメタン湧水場が存在したことを示す直接的な指標となるか否かという点と, シロウリガイ類化石を含む地層の岩相と堆積年代および地質構造の空間分布がほとんど不明な点であった. そこで初年度は, これらの問題の解決に取り組んだ. まず, 凝灰岩鍵層の対比と石灰質ナノ化石層序の構築を行った結果, シロウリガイ類化石の産出層準の年代がより詳細に明らかになった. さらに重要な成果として, 調査地域に従来存在すると考えられていた広域不整合が存在しないことが新たに明らかとなった. 後者の成果は, 南関東地域の形成史において重要な不整合面の空間分布を大きく制約することになり, 関東平野の地下の層序区分を行うための基本的な考え方を転換する必要があることを示した. 次に, 鎌倉市天園および鎌倉市今泉の2産地で, 砂岩層の堆積構造や共産する貝化石の種構成を検討した結果, 鎌倉市天園のシロウリガイ類化石は当時のメタン湧水場で埋没して保存されたものである一方, 鎌倉市今泉のものは堆積物重力流により運搬されて再堆積したものであることが明らかとなった. これらの研究成果は平成25年度内に二篇の論文として学術雑誌に投稿され, このうち一篇は平成26年度5月に受理され, もう一篇は修正中である. 研究代表者が平成26年4月以降の採用を辞退し, 目標の一つであった応力場の解析には至らなかったものの, 南関東地域におけるメタン湧水場の形成条件を解明するための重要な知見が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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