2013 Fiscal Year Annual Research Report
溶液塗布による有機半導体配向膜の新規作製手法および発光素子の高機能化に関する研究
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13J00082
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東 卓也 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機半導体 / 薄膜トランジスタ / 溶液プロセス / フタロシアニン |
Research Abstract |
半導体層に有機物を用いた有機薄膜トランジスタは、低温プロセスあるいは溶液塗布法といった作製プロセスの多様性により電子素子の軽量化、低コスト化が図れる反面、有機半導体層中のキャリア移動度は無機物と比較して低く、素子の特性を律速している。本年度の研究においては、有機半導体である1,4,8,11,15,18,22,25-octahexylphthalocyanine (C6PcH2)のスピンコート薄膜を用いた有機薄膜トランジスタ素子の作製を行い、さらに作製に加熱スピンコート法を用いた際の薄膜への影響を調べた。 フタロシアニン誘導体であるC6PcH2はアルキル側鎖を有し、種々の有機溶媒に高い可溶性を示し、スピンコート法による薄膜の作製が可能である。また、サンドイッチセルを用いたTime of Flight法において1cm^2/Vs程度の高い両極性のキャリア移動度が観測されている。この高いキャリア移動度により、C6PcH2を活性層に用いた有機薄膜太陽電池においても、4%を超える高い変換効率が得られている。 酸化膜付シリコン基板を用いて作製した電極基板上にC6PcH2溶液をスピンコートすることで、ボトムコンタクト、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタ素子を作製した。素子の出力特性より見出される正孔移動度は1×10^<-4>cm^2/CVs程度であり、Tine of Flight法において得られている値と比較して非常に小さかった。この原因として、キャリアが電極間を走行する際に多数の粒界が存在し、キャリアトラップとして影響していることが考えられる。 そこで、スピンコート薄膜中の粒界の減少を目的として、加熱スピンコート法によるC6PcH2薄膜の作製および観察を行った。室温および160℃においてスピンコートを行ったC6PcH2薄膜の偏光顕微鏡観察を行い、前者はサブミクロンオーダの細かいドメインとなっているのに対し、後者は数十ミクロンの大きなドメインとなっていることを見出した。冷却時のクラッキングによってトランジスタ特性については観測されなかったが、加熱温度の最適化によってクラッキングを抑制することで、特性の向上が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トランジスタ基板やスピンコート薄膜の作製にあたってはやや難航したが、いくつかの方策を試みることにより、多くの素子を再現性良く作製することができるまでになった。しかしながら両極性キャリアの伝導には至っておらず、研究計画からはやや遅れている。観察有機半導体材料の調達や基板の表面処理についてはめどが立っており、今後研究の加速が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
有機半導体薄膜の作製手法について、溶液プロセスの中からいくつかの手法を試み、薄膜中の分子配向あるいはドメインサイズの制御を実現することで、薄膜トランジスタ特性の向上を目指す。また、電極の表面修飾などを用いることで電子、正孔の両方をキャリアとしうる両極性トランジスタの実現、高性能化を目指す。さらに、類似の分子構造を有する有機半導体材料との比較を行い、薄膜トランジスタ素子の高性能化における薄膜作製手法の汎用性、有用性や、分子設計の指針を得ることを目指す。
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Research Products
(1 results)