2014 Fiscal Year Annual Research Report
溶液塗布による有機半導体配向膜の新規作製手法および発光素子の高機能化に関する研究
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13J00082
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東 卓也 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 薄膜トランジスタ / 溶液プロセス / フタロシアニン / 分子配向 |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体層に有機物を用いた有機薄膜トランジスタは、低温プロセスあるいは溶液塗布法といった作製プロセスの多様性により電子素子の軽量化、低コスト化が図れる反面、有機半導体層中のキャリア移動度は無機物と比較して低く、素子の特性を律速している。本年度の研究においては、有機半導体である1,4,8,11,15,18,22,25-octahexylphthalocyanine(C6PcH2)の分子配向制御による薄膜中のキャリア移動度向上を目的として、加熱スピンコート法による薄膜作製を行い薄膜特性への影響を調べた。 加熱機構付きのスピンコートステージを用い、ガラス基板上にC6PcH2薄膜の作製を行った。室温で作製した薄膜中においては、数ミクロン程度の細かいドメインが多数見られたのに対し、C6PcH2の液晶相温度である160℃にて作製した薄膜は、1ミリメートル四方を超える広い領域で一様な光学軸方向を有する事が偏光顕微鏡を用いた薄膜観察により見出された。偏光吸収異方性の測定およびレーザ光を用いた基板面外方向の光学軸方向同定により、C6PcH2分子がπスタックして形成したヘキサゴナルカラムナー構造のカラム軸が一様に配向し、かつ分子面の法線方向がカラム軸に対し66度程度傾いていることが明らかになった。この結晶構造は既報のC6PcH2単結晶データと類似しており、簡便な溶液印刷プロセスで高い結晶性を有する有機半導体薄膜が作製できるという、本作製手法の有用性が示された。今後、薄膜の電気特性および薄膜トランジスタへの応用について検討を行っていく計画であり、これを目的とした導電性高分子の混合効果についても検討、報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機半導体材料の調達および薄膜作製プロセスの開発については順調である。有機半導体薄膜の電気特性解析には未だ至っていないものの、電気特性に大きく影響を与えると考えられる、薄膜中の分子配向制御および粒界密度の制御には成功しており、今後研究の加速が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
薄膜トランジスタの素子構造や電極材料、表面修飾など諸条件の検討を行い、電子と正孔の両方をキャリアとし得る両極性トランジスタの実現を目指す。さらに類似の分子構造を有する有機半導体材料との比較を行い、素子高性能化における本手法の汎用性を示すこと、分子設計の指針を得ることを目指す。
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Research Products
(6 results)