2013 Fiscal Year Annual Research Report
音韻論の知見に基づいた日本語の読みの獲得と障害の研究
Project/Area Number |
13J00097
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
迫野 詩乃 大阪大学, 大学院言語文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 読み障害 / 音韻論 / 言語学 / 音読 / 幼児 / 逐字読み / 非語の復唱 |
Research Abstract |
読みの獲得や障害は音韻と密接に関連していると言われているが、日本語においては音韻論の知見をふまえた読みの研究は少ない。本研究の目的は音韻論の知見に基づいて、読みの障害と獲得について明らかにすることである。 今年度の研究については、以下の通りである。近年、発話の能力と読みの能力との関連が指摘されているが、日本においてはこの点について詳しく検討されていない。読みの障害および獲得と非語の復唱能力との関係性が示唆されている。そこで今年度は、まず定型発達における読みが未熟な幼児(逐字読み群)は読みが熟達している幼児(流暢読み群)よりも非語の復唱の成績が低いかどうか、誤用の特徴にも違いがみられるのか、を検討した。この結果をまとめたものを、現在学会誌に投稿中である。 次に、読みが未熟な幼児(逐字読み群)における非語の復唱課題でみられた音の誤りの特徴を、弁別素性に着目して検討を行った。この結果について、国内の学会で報告した。 また、これまで定型発達を示す幼児を対象とした一連の研究において明らかになった、読みの困難さを早期に発見するための指標として示唆された音韻的側面の特徴が、実際に学齢期の読み困難児にみられるのかどうかの課題を開始した。データについて、現在分析中である。 さらに、非語の復唱の困難さについては、読みの獲得段階における未熟さと、読み障害の違いはどこにあるのかを明らかにするため、音韻分析を用いた比較検討を行った。この結果について、5月に行われる国内の学会にて発表することが確定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、音韻論の知見に基づいて読みの障害と獲得について明らかにすることである。幼児を対象とした読みと発話に関する研究は論文掲載にまで至らなかったものの、おおむね順調に進展している。また、読み困難児を対象とした研究もデータ収集・データ分析まで進んでいる。さらに、音韻についてはこれまでとは違った視点からふみこんだ検討も開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず読み困難児のデータの分析を終えて、読み困難児のもつ音韻の困難さの特徴について明らかにする。また、読みと発話の困難さとの関係については、これまでの研究からみえてきた問題点を考慮して、定型発達における幼児と読み障害児の両方に課題を行う予定である。また、1年目に開始した音韻分析等新たな視点からの分析方法を用いて、読みの障害および獲得と音韻の関係について検討を行う。
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Research Products
(1 results)