2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J00116
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川又 優 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ラジカル / 不斉反応 / 有機触媒 |
Research Abstract |
今年度私はチイルラジカルによる不斉C-C結合形成反応の開発を目指し、不斉チイルラジカルのデザイン行った。 ビニルシクロプロパンとアルケンよりビニルシクロペンタン誘導体を与える[3+2]ラジカル環化反応はチイルラジカルによって促進されることが知られており、この反応が本研究の趣旨には妥当であるとしモデル反応に選択した。まず不斉骨格として有名なビナフチル骨格を有する様々なキラルチイルラジカルを合成し、反応におけるエナンチオ選択性を検討した。その結果、最高44%eeというエナンチオ選択性を観測するに至ったが、この最良の触媒ではすでに相当な立体修飾が施されており、これ以上のエナンチオ選択性の向上は非常に厳しいと考えられた。そこで最良であった触媒の構造から立体選択性に影響を与える部分構造を抽出し、これらの構造的特徴を有しつつさらにチューニングできる触媒骨格をいくつかデザインした。そのデザインに基づいた触媒のプロトタイプを作って検討した結果、インダノンを基にしたキラルな骨格で良好な結果が得られた。置換基のスグリーニングの結果、最高93%eeという満足できるエナンチオ選択性で反応が進行した。この結果は、たとえ立体制御の困難なラジカル反応であっても適切な触媒設計で精密な立体制御が可能になる、ということを明確に示しており、今までのラジカル反応の認識を改める重要な結果であると考えられる。現在これらの結果をまとめ、論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、不斉ラジカル反応を可能にする新規なチイルラジカルの開発に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今回の研究の成果を国内外で発表するとともに、チイルラジカルのさらなる有機合成への応用範囲拡大を目指す。既知の反応を不斉化するだけでなく、チイルラジカルを用いた新しい有機合成反応を開発し、その展開に努める。
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