2013 Fiscal Year Annual Research Report
高周期14族元素間二重結合の特性を活かした新規な酸化還元系の構築
Project/Area Number |
13J00120
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 久 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | π電子 / ジゲルメン / [2]フェロセノブアン / d-π電子系 |
Research Abstract |
本研究課題では、高周期14族元素間二重結合の特異なπ電子系を組み込んだ、新規なd-π電子系の構築とその性質解明を目的としている。本年度は、[2]フェロセノファンの上下を、ゲルマニウム原子間π結合(Ge=Ge)で架橋した、新規なジゲルメン架橋[2]フェロセノファンの合成検討を行った。 その結果、立体保護基としてTip基(2,4,6-トリイソプロピルフェニル基)を立体保護基として活用することで、適切な前駆体と期待できる、1,1'-ビス(Tip-ジブロモゲルミル)フェロセンの合成・単離に成功し、その構造解析にも成功した。 得られた本前駆体に対し、カリウムグラファイト(KC8)を用いて還元反応を検討したところ、対応するテトラゲルメタンが得られた。得られたテトラゲルメタンの光反応によるレトロ[2+2]反応により、目的とするジゲルメン架橋[2]フェロセノファンが低温下で発生していることを各種捕捉実験により確認することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
立体保護基としてTip基(2,4,6-triisopropylphenyl)を用いて研究を進めた。原料となる各種ハロゲルマンも空気中では取り扱い困難な活性種であるが、グローブボックスやシュレンクテクニックを駆使し、化合物を丁寧に取り扱ったが、置換基の転位という予期できない結果が得られ、分子の設計上問題があったと言える。しかし、ここで得られた知見により、改めて分子設計を行い、次への展開としたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の検討により、立体保護基としてアリール基を用いたこによる置換の転位により目的化合物が得られなかった、という問題点を明確化した。立体保護基をアルキル基など転位しにくい置換基を用いることで目的化合物の合成が達成されると期待している。
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Research Products
(2 results)