2013 Fiscal Year Annual Research Report
イッテルビウム原子量子気体顕微鏡による次世代量子シミュレーターの開発
Project/Area Number |
13J00122
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 隆太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原子・分子 / 量子エレクトロニクス / 冷却原子 / 光格子 / 分光 |
Research Abstract |
本課題では、イッテルビウム(Yb)原子の量子気体顕微鏡の実現、および開発した量子気体顕微鏡による局所観測を活用したハバードモデルに従う量子多体系の性質の解明を目的としている。ここで量子気体顕微鏡とは、冷却原子において非常に重要な技術である光格子(光の波長~100nm間隔の周期ポテンシャル)中にトラップした原子を直接観測する技術である。本年度では、ボース同位体の^<174>Ybを用いた量子気体顕微鏡の実現を目指し、非常に深い二次元光格子の構築、導入を行った。この二次元光格子中にトラップした^<174>Ybを単一格子点の分解能で直接観測するために高分解能かつ単一原子を観測可能な高感度なイメージング系の構築に着手し、高感度かつ高分解能(~μm)なイメージングに成功した。また、このイメージング系とYb原子の持つ超狭線幅光学遷移(^1S_0→^3P_2)を用いた超高分解能分光を組み合わせて量子気体に対する空間情報と周波数情報を同時に得るスペクトラルイメージング法の開発を行った。特に先ほど実現した二次元光格子の平面内に磁場勾配を印可し、超分解能分光することで印加した磁場勾配から予測されるスペクトラルイメージング結果を測定精度の範囲内で得ることに成功した。以上の結果は、局所観測を用いたハバードモデルに従う量子多体系の性質解明を行う上で非常に重要な成果である。また、^<174>Ybとフェルミ同位体の^<171>Ybのボース・フェルミ混合系の研究も行った。この混合系において、同時縮退(ボース・アインシュタイン凝縮とフェルミ縮退)を実現し、この同時縮退した混合系を低次元光格子中に導入することに成功した。さらに、それぞれの高感度かつ高分解能なイメージを得ることにも成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次元光格子中にトラップしたボース系およびボース・フェルミ混合系を高感度かつ高分解能にイメージングすることに成功した。また、超狭線幅光学遷移を用いた超高分解能分光とこのイメージング系を組み合わせることで量子気体に対するスペクトラルイメージング法の開発に成功した。この技術は光格子中の単一格子点操作に応用できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、本課題で目的としているイッテルビウム(Yb)原子を用いた量子気体顕微鏡の実現を目指して研究を行う予定である。実現するためにはイメージング系の改善が必要不可欠であると考え、そのための準備を行ってきた。今後は準備してきたことを実験系に反映させ、Yb原子の量子気体顕微鏡を実現する。また、ポース・フェルミ混合系を用いた研究にも取り組む予定である。強い相互作用を持つ一次元系フェルミオンに対し、わずかにポテンシャル勾配を加えることで強磁性転移することが理論的に示唆されており、本研究の一次元系ボース・フェルミ混合系においても束縛誘起共鳴を用いて相互作用を変化させることで同様の現象がみられると考えている。
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Research Products
(5 results)