2015 Fiscal Year Annual Research Report
多文化共生に対するイスラームの思想的基盤:非イスラーム地域における信仰論
Project/Area Number |
13J00127
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松山 洋平 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イスラーム神学 / スンナ派 / マートゥリーディー学派 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、著作『イスラーム神学』を執筆・校正し、1月下旬に、作品社より刊行した。研究成果は、本書の以下のような点に反映されている。 【1.三つの神学的潮流を考察】現在出版されている邦書のすべては、アシュアリー学派の教説を紹介することでスンナ派神学の紹介に代えている。本書では、アシュアリー学派にのみ着目する従来のスタンスを離れ、アシュアリー学派/マートゥリーディー学派/「ハディースの徒」という三つの潮流を軸に、スンナ派信条の全体像を詳しく解説した。これは研究代表者がこれまでスンナ派のアシュアリー学派、マートゥリーディー学派、「ハディースの徒」の相互認識と異同を研究してきた成果である。 【2.ナサフィーの『信条』を収録】本書は、スンナ派における最重神学要諦のひとつであるナサフィーの『信条』全訳を収録している。ナサフィー『信条』にはすでに中村廣治郎による翻訳が存在するが、日本の一般読者に理解がたやすいように全面的に翻訳を見直した。『信条』にはマートゥリーディー学派の教説が反映されている。そのため、同学派の研究者でなければ意味を正確に把握できない箇所がいくつか含まれる。中村訳では、それらの点が正確に翻訳されていなかった。今回の研究代表者の翻訳によって、本邦では紹介が遅れているマートゥリーディー学派の神学的教説が、本邦で初めて正確に紹介されたと言える。 【3.付録「ムスリム・マイノリティのためのイスラーム法学と神学」】本付録は、日本のような非イスラーム地域におけるイスラームのあり方をめぐる問題点を、イスラーム神学・イスラーム法学の観点からまとめたものである。本付録は、3年間の多文化共生に対するイスラームの思想的基盤の研究の成果をまとめたものであり、表層ではなく、ムスリムが「非ムスリム社会」で生きるにあたっての神学的・法学的問題点と解決策を提示したという意義を持つ。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)