2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ多孔体内蒸発メニスカス観察に基づく自律温度制御型ループヒートパイプの開発
Project/Area Number |
13J00148
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西川原 理仁 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国際研究者交流 / フランス / ループヒートパイプ / ポアネットワークモデル / 相変化熱輸送 |
Research Abstract |
本研究の目的は、航空宇宙分野の次世代熱制御技術として期待されるループヒートパイプ(LHP)の高精度自律温度制御化であり、具体的には自律的フィードバックを用いLHPのリザーバ容積をコントロールすることにより、対象機器の高精度温度制御を行う完全パッシブな多機能型LHP技術の確立である。研究方法および内容は、【1】蒸気アシストギャップの有効性検証実験と最適化理論の構築、【2】相変化熱流動過程の詳細なモデル構築、【3】封入量とリザーバ容積の最適設計理論構築、【4】パッシブフィードバックLHP構築と性能評価の4つに分けられ、今年度は【1】、【2】に関連するLHP蒸発器熱流動解析モデルの構築を行った。 LHP蒸発器熱流動解析モデルを構築するため、多孔体内熱物質輸送に関して長期に渡って研究しているトゥールーズの研究所IMFTに平成25年9月から平成26年3月まで滞在し、解析研究を行った。蒸発器の多孔体ウィック内の詳細な熱流動を考慮するため、ポアネットワークモデルを用いたマイクロスケールの3次元多孔体内気液二相流解析モデルを新たに構築した。実験にて使用している多孔体の空孔径分布とフィッティングされた分布関数を用い空孔径を発生させ、低熱流束下における多孔体が液で満たされた状態、高熱流束下における加熱面直下での沸騰により多孔体に蒸気が存在する状態の二つの流動形態およびその遷移に関してモデル化を行った。この解析により、多孔体が液で満たされた場合、多孔体に蒸気が存在する状態の二つの蒸発器熱伝達特性が明らかになった。これにより、ギャップの最適化設計理論の構築および蒸発器高精度温度制御性の基礎が確立できたと言える。将来的には、構築したモデルを応用することで、非定常熱流動や、気液界面ヒステリシスなどのより複雑な現象を解析することができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度構築した解析モデルを利用することで、ギャップの最適化設計理論の構築および蒸発器高精度温度制御性の基礎が確立できたと言え、おおむね予定通りに研究進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、【2】相変化熱流動過程の詳細なモデル構築、【4】パッシブフィードバックLHPの構築と性能評価を行う。【2】では特に、蒸発を伴う多孔体気液二相流れの観察実験および相変化熱流動モデル構築を行う。実験装置構築の際、管路系器具、センサ、x線CT施設の利用料などが必要となり、解析では大学のスーパーコンピューターの利用料が必要となる。【4】では、容積可変式リザーバを取り付けたパッシブフィードバックLHP実験を行い、性能評価を行う。
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Research Products
(8 results)