2013 Fiscal Year Annual Research Report
環境により葉形が変化する植物ニューベキアを用いた葉の表現型可塑性メカニズムの解明
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13J00161
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中山 北斗 京都産業大学, 総合生命科学部, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 葉 / 植物 / 表現型可塑性 / Rorippa aquatica / 異形葉性 |
Research Abstract |
本年度は、当初の研究計画通りに研究が進んだと考えられる。また、そのうちの一部の成果はAmerican Journal of Plant Sciencests誌に発表し、それ以外の成果についても国内の主要な複数の学会において発表を行なった。 研究実施計画では、アブラナ科植物Rorippa aquaticaを用いて異形葉性の制御メカニズムを明らかにすることを最終的な目的としている。このうち本年度の研究実施状況としては、1. 植物ホルモンの網羅的定量解析、2. RNA-seqを用いた網羅的発現解析、および3. R. aquaticaを用いた分子系統解析の3点について特に重点的に研究を行なった。1については、R. aquaticaの異形葉性には植物ホルモンが関わることが示唆されるデータを得ている。そのため、理研CSRSの榊原グループとの共同研究でLC-qMS/MSを用いた植物ホルモンの網羅的定量解析を行ない、植物ホルモンのGAの内生量が変化することを明らかにした。2.については、R. aquaticaの異形葉性に関わる遺伝子、あるいは遺伝子制御ネットワークを包括的に明らかにするために、NAIST植物グローバルの倉田グループとの共同研究でGAIIx (illumina)を用いたRNA-seqを行ない、植物ホルモンの生合成に関わる遺伝子の発現が変動していることを明らかにした。3.については、R. aquaticaが進化の過程でどのように異形葉性を獲得したのか、を明らかにするためには近縁の植物との系統関係を明らかにすることが不可欠であるため、Rorippa属の植物を用いた分子系統解析を行なった。その結果、R. aquaticaは属内において、比較的基部で分岐した種であることが示唆された。 これらの研究により二年目以降の研究の下地が整ったと言え、今後の円滑な研究が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで、研究計画で提案した実験等は当初のタイムスケジュール通り順調に行なわれており、加えてその一部を投稿論文として発表したため、達成度を②おおむね順調に進展している、と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、当初の研究計画通りに複数の生育条件下での植物を用いたRNA-seqを行ない、そのデータを用いた解析により、異形葉性におけるコアとなる遣伝子制御ネットワークの抽出を中心に据えている。また、アグロバクテリウムやアンチセンスオリゴ等を用いた機能解析系の構築、そしてR. aquaticaを用いた詳細な分子系統解析を行なうことにも注力する。このうち、最後のR. aquaticaを用いた詳細な分子系統解析については、アブラナ科植物の国際的な権威であるIhsan Al-Shehbaz博士(Missouri Botanical Garden)との共同研究を行なうこととなっている。そのため、平成26年度の初夏に実験を行なうために渡米する予定である。
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Research Products
(9 results)