2014 Fiscal Year Annual Research Report
環境により葉形が変化する植物ニューベキアを用いた葉の表現型可塑性メカニズムの解明
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13J00161
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中山 北斗 京都産業大学, 総合生命科学部, 特別研究員(SPD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 異形葉性 / 表現型可塑性 / R. aquatica / 葉 / 発生 / 形態 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、当初の研究計画通りに研究が進んだと考えられる。具体的にはRNA-seqによる網羅的発現解析データの解析を重点的に行なった.これには独自に解析パイプラインを構築して用いた。また、これにより明らかになった関連遺伝子を用いた分子生物学的解析も行なった。これによりR. aquaticaの異形葉性にはKNOX遺伝子、そして植物ホルモンのジベレリンが深く関わっていることを各種実験により明らかにした。加えて、この植物では光強度が異形葉性を誘導することも実験的に明らかにした。これ以外にも研究実績としてはまだ現れていないが、異形葉性の制御メカニズムやその進化に関わる新規の遺伝子やそのネットワークの解析も行なっている。本研究は植物の異形葉性について、具体的な分子メカニズムの一端を明らかにしつつあり、これは世界的に見ても独創的である。ここまでの研究結果は当初の計画通りに行なわれており、これにより次年度の研究計画を着実に遂行するための下地が整ったと言える。 具体的な実績として平成26年度は、R. aquaticaの表現型可塑性の解析に関する結果を国際誌のThe Plant Cell誌に発表し(Nakayama et al. 2014)、掲載号の注目論文として誌内で紹介され、表紙にも採用された。また、共著でPLOS ONE誌にもモデリングを用いた解析成果を発表した。それ以外の成果についても、The 25th International Conference on Arabidopsis Research、日本植物学会、日本植物形態学会、evo-devo青年の会などの国内外の主要な複数の学会において発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで、研究計画で提案した実験等は当初のタイムスケジュール通り順調に行なわれており、加えてその一部を投稿論文として発表したため、達成度を② おおむね順調に進展している、と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究結果から、当初の計画にあったような表現型可塑性に関わる候補遺伝子およびそのネットワークを検出することができた。この候補遺伝子には機能未知のもの、および既知であっても表現型可塑性に関わることが報告されていない遺伝子が含まれていた。そこで、さらに詳細にデータ解析を行なうとともに、平成27年度はこの結果を用いてメカニズムの本質に迫ることが課題であると言える。また、アグロバクテリウムやアンチセンスオリゴ等を用いた機能解析系の構築、そして前年度から行なっているR. aquaticaを用いた詳細な分子系統解析についても、2014年9月にIhsan Al-Shehbaz博士(Missouri Botanical Garden)との研究打ち合わせを行ない、共同研究として実施することとなった。そのため、これらの各種実験、およびプロジェクトについても引き続き注力する。 尚、解析を続けるにあたり、Bioinformaticsを用いたデータ解析において顕著な業績を有するCalifornia大学Davis校のNeelima Sinha教授の研究室に平成27年4月より異動することとなった。これによって研究がさらに推進されると考えられる。
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Research Products
(8 results)