2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J00202
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
花田 卓司 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 室町幕府 / 守護 / 足利一門 / 軍事体制 / 観応の擾乱 / 安堵状 / 将軍家御師職 |
Research Abstract |
本年度は、南北朝期における守護・大将による所領安堵、南北朝内乱のなかで展開していく幕府と寺社勢力との関係などについて成果を公表した。 論文「南北朝期の守護・大将による安堵の基礎的考察」では、建武二年(1335)から明徳三年(1392)までに守護・大将が発給した安堵状を網羅的に収集し、安堵状受給者や安堵対象地の性質について考察した。観応の擾乱(1350~1352)以後、守護による安堵状発給が広くみられるようになる点を明らかにするとともに、将軍権力による宛行い・預け置き・安堵と守護による安堵とのかかわりについても基礎的な事実関係を整理した。これにより、室町幕府下における所領給付・安堵の全体像を考えていく上での見通しを得ることができた。論文「南北朝期における将軍家御師職の意義―顕詮・静晴・晴春の執行職争い再考―」では、観応の擾乱後の祇園社執行職をめぐる争いについて考察した。とくに、執行職補任権を有する天台座主の存在と、執行職補任に対する天皇の関与という二点を重視して再検討し、最終的に顕詮流が勝利する要因となる「将軍家御師職にもとつく執行職補任」という論理が創出されていく過程を明らかにした。また、今後武家勢力だけではなく朝廷・寺社勢力の動向も含めて室町幕府支配体制を考える手がかりを得ることができた。 また、既発表の京都合戦の戦場分布図を、GIS(地理情報システム)を用いて増補改訂した。これは『地図からの発想2(仮題)』に掲載が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り守護・大将発給安堵状の分析を進め、成果を公表したため。また、幕府と寺社との関係についても成果を公表できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度も当初の研究計画に沿って史料収集・調査を進め、南北朝期における室町幕府の軍事・恩賞制度の研究をおこなう。
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Research Products
(4 results)