2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J00205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷本 溶 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 場の量子論 / 作用素環 / 可積分系 / 散乱理論 / 共形場理論 |
Research Abstract |
4次元共形場理論の一般論と、2次元可積分系について、代数的場の量子論の観点から研究を行った。 4次元共形場理論については、質量0かつスカラーの粒子の存在を仮定したとき、そのような粒子は共形対称な理論においては、自由であることを証明した。同様な結果は以前から知られていたが、様々な技術的仮定が異なる。本研究では、共形対称性とスカラー粒子の存在以外だけを前提にこの結果を示した。スカラー以外の粒子については研究中であるが、同様な証明が有効であることが期待される。さらに、共形対称性がスケール変換対称性から従うかについて考察した。これは、一般的な枠組みでは、一般化自由場が反例を与えるという予想を得た。 2次元可積分系に関しては、以前の仕事を拡張し、弱い局所性を満たす作用素環のネットを構成した。これらの例は、複数の粒子の種類を含むことができる。さらに、可積分な散乱行列を持つ場の量子論について、質量が0のものと質量が正かつ散乱行列がブロック対角なものの間に関係があることを見出した。加えて、Haag-Kastler公理を満たす新しい例を構成した論文を改訂した。これらの例はすべて散乱行列が解析的であり、物理的には束縛状態がない理論に対応すると考えられている。束縛状態がある理論はこれまで代数的場の量子論の枠組みでは扱えなかったが、特定の例については、Lechnerらによる構成方法を修正することによって同様に弱い局所性を持つ場を構成する事に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4次元共形場の質量0の散乱理論については、当初に期待されていたとおりの結果が得られた。 また、2次元可積分系については、束縛状態を持つ理論でも弱い局所性を持つ場が構成できたので、これの定義域を検討し、作用素環のネットを得るための第一段階が達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
束縛状態を持つ理論での弱い局所性を持つ場は、当初の予想と違い、定義域が特殊であることが分かった。よって、場の作用素が自己共役拡大を持つことや、空間的に離れた場が強可換であることを証明するのは自明ではない。次年度以降この問題を検討する。それらが達成されたのち、作用素環のネットについてModular Nuclearityを証明し、Haag-Hastlerネットを得ることが大きな目標である。束縛状態がある場合はModular群とLorentzブーストが一致することは自明ではないが、現在のところ、2粒子状態までは一致することの証明が得られている。
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Research Products
(6 results)