2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J00233
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
萩生 翔大 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 運動制御 / 筋シナジー / 表面筋電図 |
Research Abstract |
筋の冗長性問題を解決するための戦略として筋シナジーという概念が提唱されてきた. しかし, シナジーは未だ概念であり, その存在の証明が大きな研究課題である. 昨年度はまず, 修士課程時に行っていた3つの基礎研究に関して, その実験データの解析を更に進め, 知見を深めた後, 国内外多数の学会で発表した. ・関節角度変化に伴う下肢筋シナジーの融合 関節角度変化に伴い筋の力発揮能力が変化すると, 機能的に近い筋シナジーが融合することが確認された, この筋シナジーの融合は安定した力発揮を可能にし, また更なる情報量の簡略化に貢献していることが示唆された. 本研究に関する論文は国際誌Joumal of Neurophysiologyに掲載予定である. ・3次元空間における下肢筋の至適方位の定量 大腿部周りの筋の至適な力発揮方向を, 筋活動と末端でのカの変動との関係性から明らかにした. 個々の筋の至適方位は解剖学的な力発揮方向とは異なり, 直接支配していない関節トルクの生成にも貢献していることが示唆された. ・3次元空間における下肢筋シナジーの至適方位の定量 大腿部周りの筋シナジーの活動と末端でのカの変動との関係性から, 個々の筋シナジーの至適活動方位を定量した. シナジーの活動と末端でのカとの間に高い相関性が確認されたことから, 筋シナジーは概念ではなく, 神軽系に実際に存在することが示唆された. ・筋シナジーを捉えた歩行と走行の相転移の解明 下腿三頭筋群を制御する筋シナジーの活動のタイミングを変化させることで, 相転移が引き起こされることが明らかとなった. 中枢神経系は相転移の引き金となる求心性情報を得て徐々に特定の筋シナジーの活動を変化させ, 相転移を達成していることが示唆された. 本研究内容は, 京都滋賀体育学会にて若手研究最優秀奨励賞を受賞した, また, 本研究に関する論文は, 現在国際誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
所属している研究室の方々の協力もあり, 実験および解析を順調に進めることが出来た. また, 国内外多数の学会に参加・発表することで, 研究に関する議論を深め, また, 当初予定していた以上の様々な実験デザインを考えることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
未だ概念である筋シナジーの存在を証明するために, 神経回路内での機能的意義や, 上位からの入力および運動出力との関係性について検討していく必要がある. そこで, 上肢末端での力発揮学習課題時における, 運動皮質の神経細胞活動から筋出力までの神経モデルをニューラルネットワークモデルにて作成し, 筋シナジーの機能的な意義, また筋シナジーを捉えた神経系での学習則について明らかにすることを計画している. 上肢力調節課題を用いた生体実験と併せてモデルを改良し, 研究を進めていく予定である.
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Research Products
(7 results)