2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J00237
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
下門 大祐 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 球脊髄性筋萎縮症 / ヒト人工多能性幹細胞 / 運動ニューロン / 骨格筋 / 神経筋結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
4名のSBMA患者および3名の健常者より皮膚生検によって繊維芽細胞を取得した。これにエピゾーマルベクターを用いて細胞初期化因子群を強制発現し、iPS細胞を樹立し、胚性幹細胞に特異的な転写因子群を内在的に発現していること、奇形種を形成する能力があること、運動ニューロンへの分化能を持つことを指標にクローンを選択した。 次に、ヒト多能性幹細胞より2週間という短期間で、HB9, Isl-1およびChATを発現する運動ニューロンを50%前後の効率で誘導する事が可能な培養系を構築した。この培養系によって取得できる運動ニューロンは、myotubeに投射して神経筋結合を形成した。また、HB9エンハンサーによって発現が制御されるVenusあるいはRFPを有するHB9レポーターを作成した。 この系を用いて、SBMA特異的iPS細胞および健常者コントロールiPS細胞より運動ニューロンを誘導し、これをアンドロゲン受容体のリガンド存在下あるいは非存在下で培養した。この時、運動ニューロンの誘導効率は健常者と患者間で同様であった。次に、定量的PCRによって遺伝子発現を解析した。SBMA患者由来運動ニューロンでは、初期にCALCAの発現が抑制されるのに対して、後期ではCALCAの発現は逆に亢進した。また、CALCAの増加に伴ってJunのリン酸化が亢進した。このCALCAの発現異常が、初期では細胞増殖を阻害し、後期では細胞死を引き起こしていると考えられる。また、TGFβ受容体2や下流のKLF10の発現量は健常者でDHT依存的に増加するのに対して、患者ではDHTを加えても増加しないことがわかった。 また、骨格筋特異的な転写因子であるMYODの強制発現、CHIR99021やFGF2の添加によって2週間程度で50%程度の純度の骨格筋をヒトES細胞および健常者iPS細胞より誘導した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
再現性と効率の高い骨格筋の誘導系および骨格筋の長期にわたる維持培養系の構築に一年以上の歳月を要した。また、CALCA遺伝子由来のmRNAは極めてコピー数が少なく、正確な定量PCRを行うためには、高感度な検出系を必要とした。これらの技術的な課題を解決するために、当初の想定よりも1-2年の歳月を多く要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
運動ニューロンの誘導系、骨格筋誘導系およびそれらの共培養系を構築し、EGFPを融合させたタンパク質の強制発現によって神経筋結合をリアルタイムに観察する系の構築を行い、一つ目の論文を作成する。さらに、運動ニューロンにおいて観察されたSBMAの病態を、SBMA患者由来骨格筋においても観察し、骨格筋単体の病態を明らかにする。神経筋結合部に関しては、SBMA患者での縮小が想定されるので、これを経時的に観察するとともに、神経筋結合部の形成を増強する因子であるDOK7の強制発現によって、その病態を緩和できることを確認する。
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Research Products
(1 results)