2013 Fiscal Year Annual Research Report
バレエダンサーの運動制御および聴覚運動連関メカニズムの解明
Project/Area Number |
13J00304
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田辺 弘子 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バイオメカニクス / 立位制御 / 位相変化 / PD制御 / シミュレーション / 倒立振子モデル / コーディネーション / 美的動作 |
Research Abstract |
本研究の大きな目的「バレエダンサーのバランス制御の解明」に沿って、当該年度は以下の3つの研究を行った。 1. つま先立位時の下肢の関節コーディネーションをバレエダンサーと非ダンサーで比較検討を行った。非ダンサーは全ての関節ペアにおいて隣接セグメントが逆方向に揺らぐanti-phaseの動揺であったのに対して、ダンサーは下腿一大腿がin-phaseに動揺することが明らかになった。このことから、ダンサーの特徴であるin-phaseの動揺が立位を安定させる可能性と、(in-phaseは下肢をアーチ状の形状にするため)in-phase動揺が立位中の下肢の美的要素となる可能性が得られた。 2. 関節コーディネーションあるいは関節の位相変化と筋活動の関係性を検討した。足部-下腿のin-phase動揺は、中足趾節関節と足関節まわりの筋同士がより高周波帯までカップリングすることと関連していた。また一方、時系列的な関節位相変化に対する筋活動の貢献は被験者により異なり、筋活動・筋不活動によって、あるいは筋活動と全く無関係に位相変化が生じた。これより、位相変化の発生が様々な筋活動パターンに起因することが明らかとなった。 3. in-phase動揺の立位安定性への貢献を検討するため、PD制御を用いた四重倒立振子モデルを構築し、つま先立位時の関節角度・足圧中心点・身体重心のシミュレーションを行った。中枢神経系が能動的フィードバックを常に与える制御モデルを想定した場合、現実と明らかに異なる身体動揺がシミュレーションによって得られた。このことから、間欠制御による立位制御のモデル化が必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年次計画より多くの実験・解析が進んでおり、ダンサーと非ダンサーの立位時の関節コーディネーションの比較に関する論文が国際雑誌に受理され、関節動揺と筋活動の関連性に関する論文も現在投稿中・執筆中であるため。バレエの動的動作に関する実験・解析の結果が論文として受理されるまでには時間がかかりそうである。
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Strategy for Future Research Activity |
関節動揺と筋活動の関連性に関する論文2本が国際雑誌に受理されることが期待できる。また、当初の年次計画に加え、ダンサーの立位の安定性を詳細に検討するためにコンピュータシミュレーションを用いた解析を追加した。今年度はこのシミュレーション解析の結果を学会等でアウトプットし、バレエの動的動作の安定性に関する実験解析も行う予定である。
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Research Products
(7 results)