2013 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電体周期分極反転構造を用いた電気光学デバイスに関する研究
Project/Area Number |
13J00309
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 敏之 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 強誘電体 / 電気光学 / ニオブ酸リチウム / 変調器 / 周期分極反転構造 |
Research Abstract |
高い光損傷耐性を示し、優れた非線形光学・電気光学特性を有するMgo添加LiNbO_(3)(Mgo : LN)に周期分極反転構造を形成することにより、様々な機能を持つデバイスが実現できる。無添加LNと比較してMgO : LNへの周期分極反転構造の作製は容易ではなく、特に5μm以下の周期では作製技術が確立していない。短周期化が実現すれば、将来のレーザディスプレイ・リソグラフィ装置への応用が期待されている電気光学(EO)ブラッグ偏向型1次元空間光変調器の特性向上が期待できる。そこで、MgO : LN短周期分極反転構造を作製し、EOブラッグ偏向型1次元空間光変調器の基本単位(1画素分)の変調特性の評価を行った。 0.2mm厚Z-cut MgO : LNの+Z面上に電子ビーム直接描画によりレジストグレーティング(周期3μm, 開口幅0.6μpm, 厚さ1.2μm)を形成した後、Al薄膜を堆積させ波板電極とした。-Z面上にSiO_(2)絶縁層とAu一様電極を堆積させた。150℃の絶縁液中で電極間に1.2kVの電圧を印加した。周期電極を形成した1×1mm^2の領域全体にわたって均一性の高い周期分極反転構造が作製できた。また、電圧印加前に結晶を150℃で12時間加熱することが均一性・再現性向上に有効であることを独自に見出した。 作製したMgO : LN周期分極反転構造を用いてEOブラッグ偏向型1次元空間光変調器の基本単位を試作し、紫色レーザ光を用いて変調特性の評価を行った。印加電圧25Vのときに回折光パワーは最大となり、最大回折効率82%が得られた。レーザ光入射角受容幅の測定値は0.05°であり計算値0.05°と一致したことから、作製した周期分極反転構が高い均一性を有することがわかった。 以上の結果から、作製したMgO : LN短周期分極反転構造のEOブラッグ偏向型1次元空間光変調器への応用可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで非常に困難であったMgo添加LiNbO_3への短周期分極反転構造の作製技術を確立と、産業応用が期待される電気光学ブラッグ偏向型1次元空間光変調器の特性評価を当初の研究計画通りに遂行することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
電気光学ブラッグ偏向型1次元空間光変調器の基本特性の評価を行ったところ、回折光パワーが電圧印加後数ms程度で激しく変化する緩和現象が生じることが明らかになった。分極反転形成時に生じた欠陥準位に束縛された電子によって生じた電界が印加電界を打ち消しているためではないかと推測される。そこで、分極反転後に結晶アニーリングを施すことにより、緩和現象を低減できないかどうか検討する。
|
Research Products
(6 results)