2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J00312
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小野塚 友一 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 多重ゼータ関数 / 関数等式 / 平均値定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の初めは博士学位論文を書くことに集中し完成させた。博士学位論文では多重ゼータ関数の解析的性質について、これまでに知られている結果を自分の研究も交えてまとめあげた。これにより秋に学位を取得した。 また情報発信や情報収集のため、国内外の様々な研究集会に参加し発表を行った。5月にタイで行われた「International Conference on Discrete Mathematics and Applied Sciences」では研究発表を行ったが、それ以外にも多くの現地の数学者とコミュニケーションを取り情報発信及び情報収集に努めた。また、8月に韓国で行われた国際数学者会議にも参加し研究発表を行なってきた。国内の研究集会でも、秋と春の日本数学会やRIMSで行われた解析的整数論の研究集会などに参加し研究発表を行った。 論文について、今年度は2本が公表された。1つ目は、Mordell-Tornheim型2重ゼータ関数の2乗平均について書いた論文で、この結果はRamanujan Journalのオンライン上に公表された。2つ目は、ディリクレL関数のある種の平均値について書いた論文で、Acta Arithmeticaに掲載された。 研究についてはMordell-Tornheim型多重ゼータ関数の関数等式を研究し結果を得た。この結果は現在、学術雑誌に投稿中である。またリーマンゼータ関数やその導関数の偏角についても研究を行った。この研究では論文になるような結果を得ることはできなかったが、今後の研究に繋がる様々な知識を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までの結果としてEuler-Zagier型多重ゼータ関数の非正の整数点における値や、等号付き多重ゼータ関数の非零領域に関する結果があった。今年度、公表された論文の結果として、「Mordell-Tornheim型多重ゼータ関数の2乗平均値」の論文と「2重ディリクレL関数のある種の2乗平均」が挙げられ、多重ゼータ関数の平均値に関する結果を得ることができた。更に、今年度に得られた結果として「Mordell-Tornheim型多重ゼータ関数の関数等式」があり関数等式についての結果も得られている。このような結果から、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次の研究として現在考えているのは、今年度の研究である「Mordell-Tornheim型多重ゼータ関数の関数等式」についての応用である。具体的には今回得られた関数等式を用いることでMordell-Tornheim型多重ゼータ関数の関係式が得られるが、その関係式からMordell-Tornheim型多重ゼータ関数の特殊値の間に成り立つ関数関係式を求める研究である。 また別の研究としてEuler-Zagier型多重ゼータ関数の非正の整数を含むような整数点における漸近式の計算も研究する。これは前までに得られた結果の拡張であるが、研究の手法としては前とは別の方法を用いる。以前はZhaoの論文にある積分表示を出発点として計算したが、今度はMellin-Barnesの積分公式を多重ゼータ関数に応用した際に得られる式を出発点として計算する予定である。
|
Research Products
(9 results)