2013 Fiscal Year Annual Research Report
T2K実験におけるニュートリノのCPの測定に向けた研究
Project/Area Number |
13J00383
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平木 貴宏 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 素粒子(実験) / ニュートリノ |
Research Abstract |
T2K実験は、茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設J-PARCの30GeV陽子シンクロトロンを用いて生成したミューオンニュートリノ(ν_μ)ビームを295km離れた岐阜県飛騨市にある5万トン水チェレンコフ検出器スーパーカミオカンデ(SK)で観測し、それにより、ν_μ消失事象及び電子ニュートリノ(ν_μ)出現事象の測定を行う実験である。今年度は、データ取得面に関しては、5月にJ-PARCハドロンホールで発生した放射性物質漏れ事故の影響により、事故以降データを取得することはできなかった。しかし、これまでに取得したデータの解析は予定通り進行した。また、来年度はデータ取得が再開できる見込みである。私は、ビームの方向や強度を測定するミューオンモニターの運用・メンテナンスを担当した。事故の前まではミューオンモニターはビームデータを問題なく取得し続けた。事故後は放射性物質漏れ対策のための増強作業を行った。具体的にはミューオンモニターで用いるガスの配管の逆流防止機構や、ガスの成分を検出するためのガス採取機構を設置した。また、耐放射線性の高いダイアモンド検出器を将来利用できるかのスタディのため、ミューオンモニターにダイアモンド検出器を設置し、長期安定性を調べた。結果は、安定性が悪く、また個体差も大きいため現時点でのダイアモンド検出器の利用は難しいと考えているが、来年度も引き続きデータ取得を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
J-PARCのハドロンホールで放射線漏れ事故が発生し、当初想定していデータは完全には取得できていない。ただし、これまで取得したデータ全てを用いた結果を発表し、世界初のニュートリノ出現モードの発見(7.3σ)とニュートリノ振動の混合角θ_<23>の世界最高精度での測定に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
T2K験は5月テータ取得を再開しビーム強度を増強する見込みである。また今年度は反ニュートリノビームのデータをはじめて取得する予定である。今年度は、ニュートリノフラックスの系統誤差を新しい外部実験データで小さくするスタディを行っていく。また、反ニュートリノビームでのフラックスについてスタディを進めている。
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